ウナギについて知っておきたいこと



さて、ウナギは我々にとってとても身近な存在であると述べてしまいました。

確かに、他の魚類に比べても身体能力は抜きんでていて、
身近でいて、思いがけない場所に生息しているということは間違ってはいないのですが、
決して他の魚類よりも強いというわけではないのです。
そこんとこ勘違いしちゃってはいけません。

それどころか、今では魚類の中では一番絶滅の危険性を秘めている種といえるかもしれないのです。


現在の天然の黄ウナギの漁獲量は、昔に比べて減りまくっているそうです。
数字で表せば、1969年に3200トンであったものが、
現在では平均で600トンほどであるとか。


減少の原因としては、環境問題がその一つです。

ただ一カ所に生息する魚類と違い、
川の上流から海の果てまでと、活動域が数千キロにも及ぶウナギには、
それこそ世界の環境が影響するといっても良いでしょう。

親ウナギの生殖器中のダイオキシン濃度が体重の100億分の4グラムで、
受精卵の多くが死に、奇形が発生するといわれます。
(この濃度がどの程度のもんなのか俺はよくわからんが・・・)

海流に乗っている頃の幼生レプトセファルスは、特に有害物質に敏感であり、
自然化でもこの現象は多く発生していると考えられているそうです。

成熟したウナギは比較的有害物質に強いとは言われるものの、
有害物質の多くは沈殿するため、主に川底や泥中に生息するウナギはその影響を強く受け、
また、成熟した個体は河川内においては食物連鎖の頂点的存在で、
有害物質は巡り巡ってウナギの体内に蓄積されてしまうと言われます。

環境問題は汚染だけに限らず、
例えば数年かけて成熟した個体がやっとこさ海に下ろうとしたときにはダムができていて、
水とともに水力発電のタービンに巻き込まれてほとんどが消えてしまう場所もあるといわれています。


さらにウナギ減少の大きな原因として、シラスウナギの乱獲があります。

ウナギの生態は詳しくは謎で、
完全な人口養殖の確立はまだまだ難しいとされています。

すでに人口受精、孵化、成熟まではできていても、
幼生の餌、成熟までの確率、雄雌比率、予算などなど問題だらけであり、
人口受精からの養殖ものを食通ルートへ乗せるのはまだまだ夢の話だそうで。

なもんで、現在の養殖ウナギとされるものは、
シラスウナギと呼ばれる川を遡る前のウナギを捕獲して池で飼育していくという、
養殖といえど、元のすべては天然に頼ったものであるのです。

先ほど天然の黄ウナギの漁獲量は数十年前の数分の一になったと書きましたが、
日本のウナギ消費のうち、天然ウナギが占める比率はわずか1パーセントにも満たず、
99パーセント以上がシラスウナギを元にした養殖ウナギだと言われています。

その養殖のためのシラスウナギの漁獲量は、数字を引用すれば、
1970年ごろまで年間150トン程度であったものが、
98年には過去最低の11トンになってしまい、その後は平均20トン前後・・・。

天然の黄ウナギの3200トンから600トンに比べると、数字的には小さいかも知れませんが、
ゆくゆくは日本のウナギ消費の99パーセント分の一部に相当するわけであり、
(99%のうちほとんどが海外の養殖である)
しかもシラスウナギはミミズにも満たないようなものなので(一匹約0.2g)、数でいえばその比ではありません。

養殖のために池に入れた10kgのシラスウナギが、
一年もせずに出荷サイズ200〜250gまで育てられ、
そのころには800倍の8トンにもなっているというのであるから、シラスウナギの貴重さがわかると思います。

黒マグロが黒ダイヤと呼ばれるなら、シラスウナギは白ダイヤだそうで、
価格はキロ100万円に達したこともあったそうです。

このシラスウナギの乱獲は、
生まれて日本にやってきた全シラスウナギの90パーセント以上にもなると考えられており、
ウナギ減少の原因の最たるものだそうです。

そして捕獲を逃れた残りの10パーセント以下のシラスウナギが、
頑張って成長していこうにも隠れ家もなく餌もない。
餌を食べるどころか、自分が鳥獣の餌食となってさらに消えていってるのです。


図にするとこうなる。
   

数千キロの航海を終え、来る河川上流への旅に備えるシラスウナギ


天然(10%)
川も遡れず、逃げ場もなく、
多種の餌になるのも多数


捕獲(90%)
1970年(150トン)
1998(11トン)


約10年かけて成長


養殖される(約一年)


さらに捕獲されて人間に食われる。
1969年(3200トン)
2000年(600トン)
一部ホルモン、薬漬けにされて人口養殖のネタに。


人間に食われて終わり


生き残り
知らぬ間にダム建造、降れない、
タービンに巻き込まれ死亡 etc・・・


親ウナギとして海をわたって産卵


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養殖の元のシラスウナギをすべて天然に頼るくせに、
そのシラスウナギを生む親となるウナギを、
生まれてすぐに全体の10%程に減らしているというわけですから、
いかに人間がバカでハゲでウンコかがわかります。


ウナギは数年かけて成熟するため、
捕り過ぎていたと気づくのも数年後であり、
その気づくまでの間にも乱獲を続けているため、
仮に漁獲量を減らしてウナギを保護しようとしても、
気の遠くなる年月をかけて保護していかなければならないといわれています。

またウナギ生息域の環境変化は著しく、原因の特定、復元も難しく、
環境面からいえば部分的な保全だけでなく、
世界全体レベルで考える環境の保全が必要になってくるのです。


長すぎてわかりづらかった人のためにさらに要約すると、
日本に上陸したシラスウナギの90パーセント以上が養殖向けに捕獲されてしまい、
ウナギ達は、残りの10パーセント以下で子孫を残すために頑張って生き残ろうと努力しているというのに、
バカ人間はその苦労も知らないで、川の上流への遡りを妨げたり、
隠れ家となる自然を埋めたり、あげくの果てに有害物質までまき散らすという鬼とも言える追い打ちをかけているわけよ。
それでもけなげに生きてるウナギがいるんよ。

別にね、ウナギだって好きで捨てられたゴミタイヤとかコンクリの隙間とかにいるわけじゃないっつーことはわかってやれよってことだ。


・・・・・悪い!

なんか話がこ難しくなっちゃったね。

以上は本を読んで適当に引用してまとめただけなんだけど、
ちなみに上の話は国産に限った話であります。
日本人のウナギ消費率の内、国産が占める割合は20%にも満たないということも頭の隅に。

日本人の年間ウナギ消費量が約17万トンだそうです。
日本で捕れる年間平均20トンのシラスウナギが養殖されて出荷されたにしても800倍の1万6000トン。
さらに天然の黄ウナギの漁獲量を加えても1万6600トン。
手元本の数値の単純計算では10%にもならないのね。

残りはどこから来ているのかといえば、主に東南アジア。
日本に生息するニホンウナギの分布は東南アジアになるからであるが、
輸入されるウナギには、中国、台湾などの養殖業者を経由して、
欧州のヨーロッパウナギも多く含まれているという。

つまりは、日本で黄ウナギやシラスウナギの漁獲量不作となれば、
海外のウナギにまでさらに魔の手が伸び、
日本以上に大ダメージを受けていることも忘れてはいけない。


ウナギの人口受精による飼育は日本が一番最初で誇るべきことなのに、
日本ではニホンウナギの資源状況の調査に関しては、
ヨーロッパにおけるヨーロッパウナギのそれに比べると、たいして進んでいないという・・・
大移動するウナギの調査は大規模になるというのに、政府の援助もあまりないとか・・・
日本人は頭がいいんだかわるいんだか・・・

ウナギの消費量が世界で一番の日本なのだから、
ウナギの研究や保護の活動も世界一でなければならないのだ!
   と、本にも書いてありました。


ただ、ウナギの人口養殖についてですが、
飼育下でのウナギは通常の飼育では成熟せず、
卵巣や精巣は未発達のままで人工孵化につなげるのは難しく、
またウナギはある程度成長してから雄雌どちらかに変態するのですが、
飼育下の密集した状態ではストレスなどが作用してか、ほとんどが雄になってしまうと言います。

そこで薬や、ホルモン剤を使用して成熟を促し、発達した精巣卵巣を確保し人工授精に繋げ、
さらに完全な人口養殖を目指すには、特に雌が多く必要となるわけですが、
そのためウナギに女性ホルモンをうち、強制的に雌にさせてると言います。

私は思います。
長い歴史の中で、はるかかなたの海での産卵、
長く険しい旅、状況に合わせた変態などなど、
わざわざ世界の環境状況に合わせるような面倒くさい生き方を選んで種を存続させてきたウナギです。

そんなウナギは本能的に、自分たちで個体数の調整ができるようになっているのではないかと。
個体数が増えてくれば、限られた自然、資源の中で、子孫たちが争わないように、
また減ってくれば、逆に雌が増えて子孫を多く残すようにできているのではないかと。

そんな生命の在り方、法則に逆らって薬を多用し、
人造人間みたいなシラスウナギを生み出して放流し、ウナギという種の存続を図ろうと画策している。
そんなことをしても、何故にどうしてウナギが減ったかの原因をなくさなければ、元の木阿弥ではなかろうか。
そもそもそんなウナギ食いたくねえよな。

自然があって自然なままのウナギを存続させる努力をまず第一にしてほしいよな。


(だったらおまえも捕ったり釣らないで見守り続けろよ!)


ドキっ

いやいやいやいやいやいやいやいや、
あれ! あれですよ!

なんつーの・・・・その・・・

そう!
ウナギのありがたみを知るには、
ウナギを捕って触れてみて食ってみることが一番!

捕って捕って食って食いまくろうではありませんか。

そうして万人がウナギのありがたみを知りウナギを守りたいと思えば、
おのずとウナギを取り巻く環境も回復してくるというもの。

各々が食いたいときに食いたい分だけ近所の小川でウナギを釣る。
ウナギは捕って食うものだという考えが当たり前になれば、
養殖のために馬鹿げた乱獲もなくなり、各々が近所の環境を保全することで、
活動域が川の上流から海の果てに及ぶウナギであるので、
自然と世界すべての環境が守られるようになる!   かもしれんのだ。

ウナギを愛する心は世界を救う!


いまさらですが、そんな存在のウナギなわけで、
実は河川によっては漁業権の対象となっている場合もあるので、あらかじめ調べておくようにしたい。
海と違って年間遊漁券等を購入することもできる。

だいたい1万円程度なので、
天然黄ウナギ3匹くらいでで十分に元は捕れてしまうだろう。


さぁ、ウナギを捕って食いまくってウナギを守り 世界を救おう!

(なんか矛盾してねーかー?)



参考文献

「うなぎを増やす」廣瀬慶二 成山堂書店
「ウナギ」地球環境を語る魚 井田徹治 岩波新書
 & 俺の思い込み。



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