獲物の内臓利用








「イノシシを獲ったけど内臓は気持ち悪いので捨てました。」






俺「え なにこのメール??」














ここを見て狩猟を始めたとかいう人からこんなメールをもらって、
わたくしはかなりのショックを受けました。

ショックアンドイカリングですってば。



せっかく獲ったのに気持ち悪いとか言うなよ・・・。

猪のモツはうまいって作り方まで書いてる俺にそんなメール送ってくんなよ・・・。

フツーに悲しいじゃねえかよ!

例えば捕りたてのイノシシがあって、肉と内臓どっちかを選べって言われたら、
間違いなく、迷わず、オレは内臓のほうを選びますぜ。



以下、俺の解る範囲で、気持ち悪いとかいう先入観を排除するため、
流通している呼称に置き換えたりして説明してあげますので、
だからどうか今後は気持ち悪いなどと言って捨てずに、ぜひ利用してみてください。

悲しいメールを送んないでくださいよ。





哺乳類は大体構造が同じなので、
とりあえずアライグマで説明しますがご容赦ください。

なおアライグマの内臓は結構クセがあって不味い部類ですんで、
容赦なく捨ててもいいと思いますけど、
その不味さもどんなものかぐらい自分の舌で味わってほしいもんです。

好みってのは人それぞれ違うしね。





まず腹を一直線に割いてわかりますが、胸と腹の中間で、
膜みたいなものによって内臓が上下に別れています。



その幕が横隔膜です。

周囲の横隔膜を支える筋肉が、焼き肉でよく聞くハラミとして、
また背骨にぶら下がる感じの筋肉がサガリとして出回っているそうで。







では横隔膜を境に胸側にある内蔵から見ていきます。



のどに切れ目を入れて食道、気管を切除、
引っ張りながら食道を横隔膜近辺で切り取ると、
こんな感じに一塊で取り出せます。



気管はナンコツでウルテと呼ばれ、その歯ごたえを楽しみ、
牛でもブタでもおつまみやスナックとして利用されているそうで、
気管に付属する食道も、ブタサイズだとめんどくさいから一緒に調理してしまうとか。





通称フワとして出回っており、
マシュマロみたいな面白い食感が各料理のアクセントになり、
煮込みやソーセージに混ぜられたりしています。



心臓 ご存知ハツです。

説明の必要はないでしょう。
筋肉でコリコリシャッキリ小気味良く、
焼肉、炒め物にしてもくどくなくうまいです。



豚や牛サイズでは心臓につながる血管も、
一つの部位として楽しまれているようです。



肺と心臓に囲まれた脂肪の塊のようなもの。

胸腺 です。

あとで出てくる膵臓と共にシビレとよばれ、
とても味が濃厚でカリッと焼いて食べると美味しい部位。






次に横隔膜を境に腹側の内臓です。



横隔膜、肉に繋がる繊維に便宜包丁を入れ、
最後に肛門近くで切除するとこんな感じの塊で取れます。



まず、内臓を覆うようにしてあるこの脂肪の網のようなものを、
胃や脾臓にへばりついている箇所を切除し取り出す。



アミアブラです。

網と網の間は膜状になっており、
煮込み料理に入れて食べてしまってもよいですが、
ハンバーグなどの型崩れ防止に利用されもしていて、
塩漬けのものが市販されています。



食道の先の部位、です。

ブタのものがガツとしてモツ煮の材料に、
牛は胃がいくつかに分かれており、それぞれ
ミノ センマイ、ハチノス、ギアラとして出回っております。



肝臓

レバーです。
これも説明の必要はないでしょう。

諸々の内臓を捨ててしまうハンターも、
心臓とレバーくらいは持ち去るようですから。

「俺たちは心臓とレバー以外はめんどくさいから捨てる!」と威張ってるジジイがいたよ。

最低のクズ野郎だと思ったね。



レバーに付属している緑の袋、 胆嚢です。

中にはレバーで生成されるゲロ苦いエキス、胆汁がつまっており、
ウンコの色はコレが原因だとか。

熊のものは熊の胆として重宝されており、
熊の胆の偽物でブタの胆が出回っているらしい。



胃のそばにある脾(ひ)臓

チレと呼ばれ、
淡いレバーのような感じで美味しいです。



その近くにある脂肪の塊みたいな奴。

膵(すい)臓です。



上半身にあった胸腺と共にシビレに含まれるものです。




胃の下からのグルグル内臓。

小腸、大腸、直腸です。

テッチャン、コプチャン、マルチョウ、ヒモ etc・・・
地方によって、部位によって、動物の種類によって名称は様々ですが、モツ煮のメイン材料です。

単独で食べるだけでなくソーセージの入れ物にもなります。

ソーセージ食ってるくせに、腸はイヤだなんて言わんでください。

下に行けば行くほど消化物から糞に姿を変えたものが詰まっており、
汚い、めんどくさい、ということで廃棄してしまう人が多いようですが、
ブタでは糞の出口の肛門どてと呼ばれ、ホルモンの一部としてちゃんと利用されているんですよ。

その時に多少うんこ臭くたって、ちゃんと下処理すれば食えるんです!

食材に変身するかどうかは本人の努力気力次第。


え? 何??

うんこ触りたくない???


ゴム手しろよカス。

 


そして腰の辺りの背骨の辺りに目立つ二つの内臓。 腎臓です。

対のものは肺、金玉、腎臓くらいですのですぐ分かるはず。

マメの形をしているのでマメと呼ばれ、
スーパーでもよく見かけ炒めものに加えて食べられたりしています。



最後に股の間に残るのがコレ。

膀胱です。

フランス料理ではベッシーと呼ばれ、
中に肉や野菜を詰めてボイルする料理があるそうです。





一応内臓という感じではそんなもんでしょうか。

他にも捨てられてそうな部位をあげます。




頭を放り捨てる人も多いと聞きますが・・・



頭には、ちょっと取り出しに苦労しますが脳みそがあります。

クリーミーで大変おいしいものです。



もあります。  タン塩、タンシチューのタンです。



そしてオスの固体であれば皮をはぐと股間に異物があります。



睾丸とペニス・・・金玉チンコです。



玉袋を外すと中にはボールがあり、
豚のものはホーデンと呼ばれ、刺身や焼き肉で食されています。



チンコもトラのチンポは漢方・精力材として利用されてたり、
中国にはチンポ料理の専門店もあるんだとか。

有蹄類はないそうですが、食肉目のクマとかはチンコの中に骨っぽいのがあって常時ビンビン。



EDの人にはお勧めです。


from味公爵
なおメスの場合は中に子宮がありますが、
牛、ブタともにコブクロと呼ばれ、
新鮮なものはやはり刺身で提供もされているのです。

食ったことあるけどスゲー歯応えだよ。




そして最後に血液

ブラッドソーセージや血豆腐として食べられたり、
凝固作用を利用してソースのつなぎに用いられたりしています。

マサイ族なんて牛の生血を牛乳に混ぜて飲んでますし、
つーか日本でもフツーにスッポンの生き血割りとかあるんじゃん?






というわけでオレが教えられるのはこんなとこまでかな。


何度も言うけど、内臓は匂いがきつい箇所があったり下処理が大変ですが、
食えるようになるかどうかは扱う人間次第ですからね。

ほんとにうまいんだからモツってのは。


もっとも・・・・


動物の種類にもよるけどな。


臭い奴はくさい。 まずい奴はまずい。

けどまぁ・・・ 繰り返すけどね、
せめて自分で食べてから判断してほしいところだよ。

殺しといて気持ち悪いじゃあ・・・  殺されたほうもうかばれねえじゃん・・・・?




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