キジ猟に金魚のフン



それからちょくちょく散弾をくれるという方と猟に出かけている。



1月11日


この方はキジをメインにしていて、
今まで把握してきた数え切れないほどの猟場を回りながら教わり、
またキジ猟の際の犬の動きなどを教えてもらっている。



キジは畑や田んぼの周辺に暮らしていて、
寝床は近くのボサ(藪)の中にある。

いそうな藪の中に犬を放して、
犬にビビッて飛び出したキジを撃つのだ。



「・・・俺・・・犬飼うつもりないんですけど。」


「楽しいぞぉ〜! 犬飼うと。」


「自分の面倒すらろくすっぽみれてないんで・・・」


「犬がなくたって、がんばればキジは獲れるんだ。」


「藪で待つ・・・ですか??」





全然違った。




キジは冬でも普通に活動していて、
畑や田んぼに餌を食べに出てくるのだそうだ。

なので、目を付けたいそうなポイントを一日中車でドライブしていれば、
結構な確立で餌を求めて出てくるキジに出会えるという。

この人の場合は「いそうなポイント」ではなくて、
「いるポイント」を知っている。

顔が広く、「キジ見かけたら教えてね。」みたいに言ってるらしい。


キジはテリトリー意識が強いので、一度見かけた場所はまた見かける可能性が高いという。

またテリトリー内にいくつか逃げ場になる藪を決めているらしいので、
猟期中でなくてもキジを見つけたら近づいてみれば、
その藪に逃げ込むので目をつけておくのだそうだ。


さらに、そこでキジを仕留めても、
来年には別のキジが陣取っている可能性が高いという・・・




良い藪は毎年遊べる むひひひひ だって。



なるほど〜・・・。



「でも犬入れたほうが早いぞ。
 犬に金かけるか、時間とガソリンをかけるか だな。」



なるなるなるほど〜。




そんな感じで彼が長年かけて把握してきた藪を見て回る ボサ巡り をしている。

一日200kmくらい走ってるかな?






「あー!  い、いましたよ! ほら あれ!」

田んぼの畦にキジがいる。


「あれ、ちょっとやっちゃってくださいよ。」


「はいよはいよ。うまく近づければ撃てるけど、
 田んぼに降りたらたぶん横のボサに入るな・・・」



彼はさっそく銃の準備をして田んぼに向かう。


キジは彼が田んぼに飛び降りると同時に畦の影に隠れる。

動画 うける。





そして ササササッ と言ったとおりのボサに移動。


「どこ行ったー?」


田んぼに降りて目線の低い彼にはキジの行動が判っていない。


「とっくに藪に非難してます。」


「犬はなしてー!」


ボサに入られたら犬の出番。
私は言われた通りに犬の檻を開ける。

扉が開くと同時に犬は飛び出し、
キジの逃げ込んだボサに向かい、
キジの臭いを追って中に飛び込む。



ビビッたキジが飛び出した!



ダーンダーンダーン



飛び出したキジに向かって発射。



スカスカスカ



「はずれー!」(ニヤニヤ)




→これも動画に撮ってやった!







キジはさらに奥の、荒れた谷間のボサに入り込んだ。


かなり広めの藪で2匹目の犬を放してキジを探索させるも、
なかなかうまい具合にキジが飛び出さない。


「藪伝いにもっと奥にでも消えたんじゃないですか。」


「かもしれないな・・・・
 あの奥だと茂りすぎてダメだな・・・」


と、彼が弾を抜こうとした瞬間、
我々の目前からキジが飛び出した!


こんなとこにいやがったのか!!!



ダーンダーンダーン



カスカスカス



キジは山の中へ飛んで消えていきました。

こうして山に逃げたキジが、ヤマドリに変化するという・・・・・                 うそ。



「  〜さん。 今のって距離的にも角度的にも最高だったんじゃないですか?
 もう手で叩き落とせそうでしたよ。 バシッ て。」



「あれを外すとは・・・俺ももうだめだ。。。。
 悔やむよ。
 6発も撃って・・・・

 ・・・だからやめるの・・・・」



うはははは。(心の中で爆笑)



キジ用の犬は、獲物を発見したら「ポイント」といって、
手前で一時停止して、獲物がいることを教えてくれるという。

しかし、彼曰く、


「近頃のキジはめったにポイントさせてくれない。
 ヤマドリは図太いからポイントするけど、最近は数がめっきり少なくなった・・・・
 ポイントするとどっちに飛び出すかなぁ〜ってドキドキするんだよ。」


だって。



はたしてキジが進化しているのか?

彼の犬が猟犬として使い物にならなくなってきているのか?





なんにしても、彼の場合は藪に逃げられても犬がいるからいいとして、
私が散弾を所持したらキジを発見したときにもっと慎重に近づいて撃てばいいわけだな。

俺ならあの田んぼにいた段階でホフク前進してますわ。



とまぁ、そんな感じで、
手当たり次第に犬を入れていくのではなく、
いたらまずは銃だけでチャレンジして藪に逃げ込まれたら犬を放す
という、私に合わせた狩猟をやってくれています。

基本的にキジに巡り合うまでずーとドライブですから、
荷台の檻の中でワン助共はかなりストレス溜めてますね。

銃でチャレンジして外して戻ってくると、
吠えはしないけど、鼻息がスゲー荒えーの。




そしてついに一羽捕獲。


彼曰くこのキジ、以前に見つけて犬を放したものの、
まったく飛び上がらずにコケにされたキジであるといい、
やっと念願かなって仕留められたとのこと。




捕獲したキジはすぐに腸を抜く。

ケツの穴から、先を鉤状に曲げたハンガーを突っ込んで、
ぐるりとまわして腸を引っ掛けて抜き出し、ズルズルっと引っぱりだすのだ。

抜き取った腸は犬に食わせる。



「うわぁ〜・・・・うんこ喰ってる。。。。」

「これで臭いを覚えていくんだ。」



そしてキジ本体は・・・・


横断歩道は手をあげて渡りましょう。

もらってしまった!




コレクション増えたー!!




1月16日


今日もドライブ猟。


飯喰ってるキジ発見。


「あれ・・・・どうですか??」

「ここは家が近いから・・・・空気銃だな。」


撃ってもいいし住宅街ってわけじゃないのだけれど、
田んぼのすぐ横に人家があるので音を立てるのは気がひけるという。



なら俺が!

初キジゲットなるか!?



車内でポンプをして車から降りて、
畦にかがんで奴に狙いをつける。


ムフフ。
こういう忍びの技は、俺の方が上手に違いない。





でけえぞ 的が。




でもヒョコヒョコヒョコヒョコ動きやがって頭が狙えない。



「撃っちゃえ撃っちゃえ! いまだよ ほら!」


「いや・・・ちょ・・・全然狙いがダメで・・・胴体なら余裕なんスけど・・・」


「半矢でも飛べなけりゃ犬が押さえるよ!」


「・・・えーい、ままよ!」



胴体ど真ん中に狙いをつけて発射!!!


バン!!!!!!



パシッ!!!



お!!  当たった!!!   ここまでパシって音がしたー!!



奴は田んぼの刈り残しのちょっとボサボサしたところに入り込んで動こうとしない。


死んだか?



「当たったな! 死んだんじゃねえか? 拾って来い。」


いや!  動いてる!  かがんで逃げてる!!


俺はすぐにポンプを開始。


バッチン バッチン バッチン    バチっっ!!!




きゃーーーーーーー




イテエエええ!!!!
指挟んだーぁぁああ。。。




むぅ・・・・     ひさびさ・・・・



しかし痛がってる場合じゃない! 耐えて、声を抑えて、弾込めして発砲!



死ねクソが!!!!!



(それ八つ当たりって言うんだよ。)



ビシ!



また当たった!!


とその瞬間、奴は スタタタタッ と離れた広い藪の中に移動。



「当たりました!!! たぶんもう飛べませんよ!!!!!」


「待っとけ。 今犬に拾わせるから!」



彼は2匹の犬を放して藪の中へ入っていく。

俺もそれについて藪を捜索。


犬が藪を暴れまわっていると、 バラララ  っとキジが飛び出した。



あれー?  あれー??  飛べたのー???



飛び出したキジは同じ藪の中に降り立ったようで、
犬を引き連れてさらにキジを追う。


バララララ



再び飛び出して人家のほうへと消えていく。



「何だおい・・・ずいぶん元気じゃないか?」


「おかしっスね・・・・
 ポンプが少なかったかな・・・・
 あれじゃたぶん喰いこんでないですね。
 いいとこ打撲ですよ。」


「入院して戻ってくるだろ。」




つーかあれなんだね。

確実に当たってはいるはずなのに逃げないなんて・・・
キジってバカなんすかね?

「危ね!」って思ったら飛んで逃げればいいのにね。
 
おかげで初キジゲット期待しちまったじゃねえかよ!!!



何にしても俺の空気銃ではもっと近づかないとダメなようだ。

キジの向きもあるみたいだし。

横を向いてると胴体しか狙えないんだよな。

そうなると、あの羽ジャン?

硬くって貫通しねえんだよ。 たぶん。


もっと良いシチュエーションじゃないと、
ただ打撲傷を負わせていじめるだけだな。

かわいそうに・・・・・

まぁ散弾をぶっ放すのが気がひけるような場所でキジを見かけたら俺の出番かもしれないけど、
そうでない限りはいじめっ子になってしまうのでやめときましょうね。

やっぱ俺はピヨハンターだし。

(最近ピヨハンターという単語を獲れなかった時の言い訳に使ってねえか?)




「その空気銃はダメだな!」


「っっかしっすね・・・・・・
 ウサギを倒したこともあるんですけど。」


「まぁ あーいうところだと犬を入れて飛び出させても、
 飛び出す方向もあるし、家を気にしたら当たんねえよ。」


「この前は家がないのに6発外しましたよね。」


「・・・・・」



うはははは(心の中)







そして私にバカにされた彼が一羽ゲット。



やはり私がもらう。






11月17日



「あそこにいるな・・・・・」


「え? どこどこ??」


「あれ・・・・そうだろ??」


「あー! そっすね! 2羽いますよ!  いやいや! 3羽だ!!!
 やっちゃってください!!」


オスがメス2羽を従えて田んぼで飯食っているのを道路から確認できた。




道路側からキジに近づくと、
藪に入らずに飛ばれてしまうかもしれない。

一度田んぼの反対側に移動して道路に近い藪にキジ追い込むことにする。



側溝に降りて・・・・



這い上がって・・・・



この土手の裏手にキジがいる。



「どっスか?」



―道路 ●キジのいたとこ


「藪に入ったな。」



しかし、藪に逃げられてもここでは犬を放すことが出来ないという。

キジが飛び出す方向でキジを逃がすかもしれないのもそうだけど、
それ以前に車ビュンビュンのところに長いドライブでストレスの溜まった犬を放すと、
道路に飛び出して死ぬかも・・・・だって。


「そんなにアホなのこの犬達?」(心の声)


そこで自分で藪に入り込み、道路とは反対側へ追い出して撃ってやろうという作戦。





彼は道路側に回り込み自分でボサに突っ込んで行く。



バラ バラ  バラララララ



お!! 3羽飛んだ!!


しかし彼は発砲しない。  何で??



「オスが出ないな!」


「いやー、俺にはオスかメスかも判りませんでした。」


「ちょっと中を(藪の)適当に歩いてみて。」


オッシャ!

俺は犬になりきったつもりで藪の中を縦横無尽に走り回った。

ブイーン!


だが何も出なかった・・・・。



「ひー ひー はひー ・・・
 やっぱ・・・さっきの・・・・飛んだ奴の中に・・・オスが・・・いたんじゃないすか・・・ふひー・・・」


「いやあれは全部メス。 藪の中にまだいたんだよ。」


「危険を感じてメスを置き去りにしてとっとと消えるなんて・・・俺レベル・・・。
 他行きましょ。」




っていうかここはキジの溜り場じゃね?

ウンコがスゲーよ。





そんなこんなで移動しまくって今日も一羽ゲット。




またもらっちったー!



だめだな。

もらってばっかりだよ俺は。

今年はすでにキジを5羽ももらってるわけだ。




乞食ハンター とでも変えないとだめだなこりゃ!)





でも、ほら、上のピヨちゃん。



それ・・・・俺が獲ったんだかんね。




偉大なる狩猟の超先輩殿。

人生最後のキジ猟に金魚のフンの如く尾行している私に、いろいろご指導ご鞭撻までしていただいているのに、
獲れたことよりも獲り逃がしたことばかり話題に取り上げてごめんなさい。







だって面白えんだもん。




逃げられた方がドラマがあるよね。



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