標識盗まれた???




その朝、家の山に仕掛けたシシチビリに変化はなかった。



そして、第2ちんぜい付近に仕掛けた罠には・・・





やはり変化はなかった。



たぶんこのわたくしが去年退治した猪が、
ここに生息していた最後の生き残りだったのだろう・・・



ラストイノシシが死んでこの地には平和が訪れたのだ。



ということにすればいい。



で、そういうことにして帰ろうかと思ったら・・・




ザボンッ!! ・・・・チョピチョピ


ジャボーンッ!!!





罠は、とある堰のすぐ横に仕掛けていた。

堰に何かがいるらしい。



鴨か!?


音をなるべく立てないように茂みから水面をうかがうと・・・・・








アーーーーッ!!!



イノシシだ!!




猪がダムを泳いでる!!



しかも・・・・




ザブーン!




続く!


一頭、二頭、三頭・・・・


は、速い!!


犬かきを凌ぐぞ!



「こりゃビデオに撮らねば!」

と、すぐにカメラに手を伸ばしビデオモードにするが・・・




最後の一頭を何とか撮らえるも、
茂みに邪魔されていい映像が残らなかった・・・



撮影直後、泳いで対岸に向かった猪を、俺は死にものぐるいで追いかけた!




待て〜ぇぇぇ!!!

ブレイブブレイドを脳天に突き刺してやるぅー!!!





(追いつくわけねーだろ。)




「ふ・・・ブレイブブレイド装備の俺様に恐れをなして逃げたか、雑魚イノシシ共め。」




(いやチゲーから。お前なんて相手にされてねーだけだから。)





予期せぬ出会いに興奮の俺はすぐさま家に舞い戻って急遽くくり罠を3つ作り、
第2ちんぜいに2つ増設してから、次に家の単管パイプのところへ向かった。





すると・・・・



あれ? 罠が作動してるぞ。


朝は何ともなかったのに・・・・


さてはキョンかタヌキ系が通りがかったか!?





でもなんでだろう?



ねえなんで?




なんで標識が消えてるの???


朝はあったのに・・・・・・・・・・






罠にはこういう連絡先とかを書いた標識を取り付けることになっているんだけど、
俺はこれを園芸のあの緑の針金でぐるぐる巻きにしてたんだよね。



風で飛ぶ?

いや、ありえない!


動物がくわえて持っていく?

いや、それもありえない!



標識をつけていたのはこの棒の先っぽだったのだ。


そして一つの結論に至った。



人間が外して持っていった。



それしか考えられない。

たぶん猟犬でもかかってしまって、
あとで文句でも言うために持っていったんじゃないかと思うんだよな。



(まぁ100円もしないもんだからいいじゃん)



いーや、よくない!

そういう人のものを勝手に持っていく根性が許せんな。

俺的個人情報保護法にも違反するぜ!

連絡先も暗記できないモウロクジジイの仕業かもしれんな。


ちくしょー! トレイルカメラをここに仕掛けておくべきだったな。

今他のところなんだよね。




っていうか犯人まだ近くにいるかもしれん。


というわけで周辺を車でうろつくと、
数台のハンターのものらしき車両を発見できた。

とそのとき、道脇に銃を抱えて坐っているハンターが一人。

どうやら道路を挟んで向かいの田んぼに、
犬に追われて出てきた獲物を道路越しに撃とうと待ち構えているらしかった。



つーかそういう発砲法は違反だから気をつけようぜ。

公道で銃剥き出しってのもうるさいから気をつけようぜ。



そのハンターに聞いてみるが、
私が罠を仕掛けている方面には入っていないとのことだった。



犯人は他のハンターだな。


よーし 面白くなってきたぞぉおおお!



と、思ったんですが、

別に約束の時間が迫ってきているのでここでタイムアウトとなる。

残念!

せっかくだから、らしき車のナンバーだけでもメモっておくか。





そして夕方・・・・。




トレイルカメラを設置。



標識も新たに設置。




さらに第一ちんぜいにも罠を設置する。

ここも自宅同様、固定する木が遠いので、
杭を打ち込んで罠は杭に固定。
さらにその杭をワイヤーで木とつないだ。





さーて、何か連絡とか来るかなー?



犬が怪我してたら・・・

犬の治療費出せ!    かな。


まさかハンター自身が怪我したってことはなさそうだが、
俺みたいに地面にはいつくばってる輩だったらそれもわからんしな。


そんなときはどう対応しよう?


下手に出て 「申し訳ございませんでした」 と平誤りか。


いや、うちの土地に仕掛けててそれもおかしいな。


「てめえか! 人のもの盗みやがったのは!! この盗人がぁ!!!」

と、どなりつけてやるか。


なんにしても、人に対しては保険が利くけど、
犬に関してはなんにもないからな。

犬に何かあればどっちかが実費を支払わなないといけないよね。


まぁ、飼い犬に関しては飼い主が全部責任持てよって思うけどな、俺は。

犬が公園でウンコしたって、車に轢かれたって、ガキを噛み殺したって、
罠があるかもしれない場所で放して罠に掛かって怪我したって、
野良じゃない限りそれはすべて飼い主のせいだろ。


なんにしても生き物を飼うってのは大変なことなんだよ。


まぁ、お互い常識の範囲で話せる奴なら何とかしてやるけどな。
ウダウダごねる様な野郎は返り討ちにしてくれんぜ。


(お互い常識って・・・・お前に常識はあるの??)


そこ、静かにしなさい。





追記。


特に連絡とかありません。

設置したトレイルカメラのデータをしばらく後に回収すると・・・




ハンターが映っている。



犬連れで通りがてら標識をじっと見ていった。



(こんな罠で獲れるかバーカ どこの素人だ? って思われてんだよ。)



いや違うね。

この素晴らしい罠の仕掛け方は、先の大戦の生き残りの老兵に違いない。

最後の日本兵 千葉で発見!


って思われてんだよ。



突然山の中でトレイルカメラにフォーカスされたにもかかわらず、
銃の持ち方はしっかりしているし、マナーある見習うべきハンター様です。 たぶん。

この方は犯人ではないでしょう。 たぶん。




でも・・・犯人は現場に戻るとも・・・・言われます。




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