投げ突き網



猟期2日目にして、大き目のイノシシ一頭でフリーザーがいっぱいになり、
フリーザーのスペース確保と、さらにハンターとしてのレベルの底上げに専念しようと決意。

それまで猟の中断も決意し、イノシシ肉の消費と設備増資に明け暮れていた正月明け。

そろそろ鴨数羽やタヌキ1、2匹くらいならいつ獲れても肉を保管できる余裕が出来た。

今日あたりちょっと鴨に宣戦布告してみるかな。



秘密の投げ突き網ポイントで。





あれから猟は中断していても、
害獣による足跡や被害状況の確認で山入りしたり、
夜中にサーモぐラフィ片手に鴨調査をして楽しんではおりました。

そんなある夜、田園地帯の一角に車を止めて、
サーモで全体を偵察するも、らしき熱源は補足できない。

そのとき、鴨らしき鳴き声が耳に入りました。
かなり近くにいるらしい。
しかし一向に熱源が捕らえられない。

ただの調査遊びだったので、ヘッドランプの明かりをつけて捜索開始。

そして田んぼの間にある幅10mほどの水路へ明かりを向けたとき、
数羽の鴨が大きな声を上げて飛び立っていったのだった。

うわぁ〜 すげ〜・・・



日中はハンターに追われつつダムを転々とする鴨は、
夜間は銃を撃てないことを理解し、
堂々と田んぼで餌を漁っている生き物である。

と、決め付けていた。

しかし、夜中もちゃんと水辺で浮かんでいるらしい。




それから夜にそこに通い続け、
数は上下するが、必ずと言っていいほど鴨と出会うことを確認。



現場。

田園の中にある一つの水路で、今は水量が少ないせいか、
下にいる鴨からは死角となっていて、
田んぼから忍んで歩いていけば、水路の縁へ近づくまで気配を悟られないようだ。



これはすばらしい猟場となる!

これならば! ここならば!



鴨相手に突き網投げ網で対抗できるのではないだろうか!?



さっそく、以前作ったものの、
田んぼの鴨相手には力不足を思い知らされ廃棄したものと同じような網を作成、
それで立ち向かってやることにした。







この動画を見てください。

付き網の一種になるのでしょうか。

細い水路に入り込んだカモを、
巨大な虫取り網のように、
掬い取ってしまうようなタイプです。



網自体は柄も含めて2mくらいで、
網の直径は6、70センチくらいでしょうか。

すくったカモが逃げ辛いように、
網にたるみを持たせているようです。

しかしこれが有効なのは川幅がかなり狭いとき。







次にこちらの動画を見てください。

これは坂網という投げ網の一種で、
飛んでくる鴨の通り道に、脚立を立ててその上で張り込み、
飛んできた鴨に向けて投げる方法です。



網自体は柄も含めると4m近くあり、
網の部分も2メートルほどあるようです。

これは投げた網に飛んできた鴨がぶつかった瞬間に、
網の固定が外れて、鴨を包み込んでしまうような構造のようです。







さて、今回私の見つけたポイントは、
川幅が5m〜8mほどあり、どうしても投げる必要も出そうですし、
かといっていちいち包み込むような構造はめんどうくせえので、
それぞれを合体させてできたのがこちらです。





突き網&投げ網のフュージョンタイプ。



坂網のように柄も網も長く大きく、
そして突き網のように網をたるませてみた。



網の素材は、
無双網で使用した丈夫なガーデンネットではなく、
逆に絡まりやすいように、無双網ではゴミと判断した防鳥ネットを使用。

そして要所要所を固定して、波波にたるむようにしました。



足元から飛び立てば突き網式に救い獲り、
ちょっと遠ければ投げ網として投げられる。

もしかしたら鴨だけじゃなく、
薮に潜むキジとかコジュケイにも使えるかもしれない?

と、いろいろマルチに対応可能そうで夢が広がる。






趣味友遊式投げ突き網。

マルチドリームトイル(multi dream toil)完成!






って、昔作ったのとほとんど変わらねえんだけどね。



もっと早くに戦争を始めたかったんだけど、
ネッティングハンターとしての素晴らしいプライドを取り戻した俺様で、
そして狩猟における素敵なサムシングを求め続ける俺様は、
獲れた獲物に対して失礼の無い対応が出来るように余裕が出来るまで、
新兵器による対決を先延ばしにしていたのです。

この俺様も、自分で言うのもなんですけどね、そういう感じのね、
猟欲のコントロールみたいのが出来るようになってきた気がしますよね。

そろそろ散弾に戻っても、
「何か動いた! 獲物か? ズドーン やっべー人だったのかよ」
につながりそうな、バカアホドジマヌケオタンコナス発砲はもうしないような気がするんですよね。


てっことでそろそろまた散弾持っても良い?



家族「いやぁ〜。。。。」


  「空気銃ぐらいにしとけば?」


  「その前に猪なんとかしろ。」




あっそ。

だいたいイノシシは仲間がやられてからは、
まったく近寄ってきてる形跡ないじゃん・・・







そしてついに勝負の時がやってきました。




いるいる今日もいる。

今日はスゲー数だな・・・

無双網のように仕掛けた場所で呆然と待つのではなく、
目的の場所へ車を走らせ、サーモで確認、
いなければ家に帰って役満天国、
また後で暇だったら様子を見に行って、
いたら戦闘開始というスタイルを取れるわけで、
全然寒い思いもしないし、めちゃんこ楽チンなのだ!



さてと・・・・

離れたところで網を組み立て、
しばし暗闇に目を慣らす。

作戦はこうだ。




遠間からサーモグラフィーの熱源であらかじめ鴨のいる場所を判断した私。

ここから網を手にして、
鴨からは死角となる田んぼを横切りながら、
たぶんこの下辺りに鴨がいるだろう的な場所へと向かい勝負に出るのだ。



(いよいよだな 落ち着けよ俺!)



言われなくてもさ。

通いながらイメージトレーニングは何度もしたのだ。

そう。
この暗闇をそのまま進めば、先に気配を悟られて飛ばれてしまい、
すぐにヘッドランプをつけても既にひと足出遅れる。
あるいは、飛び立つ音がした瞬間に、あてずっぽうで空へ網を投げるに終わってしまうだろう。


しかし先手必勝!
突如ヘッドランプをオンにして突撃することで、
ビビった鴨が飛び立っても、その姿をいち早く確認でき、
近ければすくい取り方式、遠ければキャスト方式で対応出来るわけ。

おまけに逆光のランプの明かりに目がくらむからか、
調査段階ではわざわざこっちに向かって飛んでくるアホもいたのです。



頭の中でイメトレを繰り返す。


よし! いくぜ!!



ヘッドランプスイッチオン!

と、同時に棒高跳びの選手のような持ち手で網を構え走り出す!



そらそらそらそらーーー!!!



ビビった鴨が飛び立つ!!




バチャチャチャ・・・・・・

グワーグワー!!





なにー!!!???



1、2、3、4・・・・ 10羽超えているだろうか?

しかし鴨のいた位置は推測した位置よりも少々右手だった!


くそっ遠いけど投げっっ・・・・    れなかった・・・・





ふぅううう。

残念。 ま、こういうこともあるさ。

世の中そううまくはいかないもんさ。

さて、帰ってマージャンでもしよう。


と、車を進めて家まで来たときに、
家の横の田んぼになにやら鳥らしきものがいるのを、
車のヘッドライトの明かりによって横目で確認できた。

一瞬だったが鴨ではないのはわかった。

車をバックさせてそれを見てみると・・・・



あ! こいつ知ってるぞ!!!

この特徴的な奴・・・・    獲って良い奴じゃね?





日本兵の話ではそばの出汁に使われてる って聞いたことがあるぞ。

鴨ほど警戒心も強くねえし、
網の獲物第一号になって・・・・

なんて奴の真横に車をつけて眺めていたら、
さすがの奴も身の危険を察したのか飛びたってしまった。

まぁ・・・やっぱりそううまくはいかねえかー。

再びそんな考えを私の頭に過ぎらせたそいつだったが、
そのまま家の前を流れるどぶ川に降り立った模様。


川幅約3m


あら。世の中そううまくいくもんですね!




あいつは鴨のように泳ぐタイプじゃないし、
降り立った場所付近にまだ居座っていることだろう。

さっそく組み立てたまま積んである網を手に取り挑戦。

今度は投げの姿勢でなく、
横に構えるようにすくい取る体勢で近づく。

ライトオン!!!

あ! すぐ下に奴がいる!

じっとしてるぞ!!!

飛んだところをすくい取ろうと思っていたが、
そのまま網をかぶせてやろうと網を動かそうとした瞬間だった・・・


飛んだ!



うりゃぁぁあああ!



勢いでそのままフルスイング。









バササー!















キャッチ成功!!!!

ひゃっはぁー!






スイングした網にズシリと、
素材の竹が折れるんじゃないかぐらいの重みを感じ、
そのままおらぁーっと川を背にするまで半周、
網が川面から地面の上にきた所で、
逃げられないように取り口側を伏せるように置こうとしたが、
どうやら狙い通りに網がちゃんと絡まっているようで、
バタバタしても、もう逃げることもできないようだ。




























突き網の獲物第一号・・・・・




















ヒィーハァー!!

イ・サ・ギー!!!!





やったぞオラァァァアアア!!!!







なんだこれ?  なんなんだこれ???

スゲーわっくわくのドッキドキ。

罠猟、空気銃猟、散弾、無双網とやってきたけど・・・











楽しすぎてイっちゃいそう。

これはおそらく・・・


手応えだね。

まさしく獲物が獲れたその瞬間の手応えを直に感じ取れるのだよ・・・これは。

止めを刺したときの感情とはまた違う、
釣りで言うところのヒット! みたいな、
アタリがあった瞬間に近いものを狩猟においても感じることができるんだわ。







おお〜 興奮しすぎて寒さも忘れていたぜ。



ゴイサギはこのカッコイイツートン風カラーと頭のツンツン・・・

そしてサギの仲間では珍しく首が短いのが特徴で・・・・


って・・・・





折りたたみになってるんだな この首は。

思ったよりノビールんだな。




ゴイサギに似ているこいつはよくいるんだけど、
ゴイサギのほうが小さくて全体的に整ってて色の調和が取れてる感じ。



さて・・・

ソバつゆの出汁だってきいたけど、
「あんなんはソバつゆの出汁ぐらいにしかつかえん」
的なニュアンスにも聞こえたんだよなぁ・・・・

まぁ本人死んじゃったしもう確認できねえし、
食べて確認するしかなさそうだな。




おおーっっと!!!

突っついてきやがるぞ!!



この鋭い嘴で・・・

なんてかわいげのねえ野郎だ。

可愛そうに・・・俺様の怒りを買ってしまったようだな。

もうちょっと愛嬌があればちょっと飼育という道もあったのにな。

こんなクソガキはさっさと首チョンパだ!












なーんて悪役を演じたいところですが、
またこんなん入れてちょっと飼育しちゃってますよ俺とかいうやつは・・・。



さっそくドブで冬眠真っ最中のザリガニを取って、
ボウルに放り込んで置いておいたら、ちゃんと食ってくれました。

飼おうと思えば飼い続けられるな。




いや、殺すけどな。








つーか超楽しーんだけどこの猟法。

みんなもやってみそ っていいたいところだけど、
これって場所に恵まれた人で無ければ出来ないよなぁ・・・。

紹介した動画にある投げ網の坂網猟のポイントも、
地元猟友会が占拠しているような場所みたいですし、
突き網の動画のポイントは皇族とか宮内庁管理のお堀のようですしね。


18の頃、引っ越す前は、生まれ育った土地から離れることにためらいもあったけど、
引っ越した後、田舎に越すという決断に賛成したことを後悔したことはない。

そして毎年毎年のように、
やはり引っ越して良かったと思うことだらけだけど、
またひとつ引っ越してよかったって思ったぜ!

家の真横でこんなワクドキ猟で獲れるなんてな。










ほんと場所に恵まれてよかったぜ!


そんかし人生の一部を犠牲にしてるけどな。

そうでなくても、休みの日は何しようかなー なんて考える人間と違って、
あれをしなくちゃいけない、これもしなくちゃいけない ってのが田舎暮らしだしね。

時間がありそうに思われてる田舎モンは、
実は都会人以上に時間が無いしな。

俺だって通勤で一日4時間くらい消えてるし。
6時に起きて11時に寝るとして1日17時間としたら、
平日の人生の4分の1ぐらい通勤時間ってことだかんな。

金だって車に始まり草刈とかの余計な機具や燃料代とかに回さなくちゃだし、
趣味に回すのは後回しになるんだかんな。


だからこそ遊ぶ時はいろいろ工夫して死ぬ気でクッソ遊ばなくちゃ。

ってなれるんだけどね。



網猟日誌
狩猟の部屋
TOP
inserted by FC2 system