うっまぁーい!!!
脂身のコクが広がったあとに酢がぷわぁーんとして、
肉の旨みや一緒に煮込んだベジタブルフルーツの甘みと香りを味わってるうちに、
だんだんと野性味を帯びた風味が鼻に抜けてくる。
なるほどね〜 この獣臭っぽいのがタヌキなのね。
と、たぶん俺じゃなくてもなんとか味わえるまでになっている。
と 思う。
あくまでも俺スケールですが、
山羊やマトンイコールくらいまでは抑えられてるんじゃないだろうか。
ここで苦手であればソースを工夫してみたり、
あるいはもうワンステップ、シチューやローストにするなどして手を加えることで、
さらにクセを取り除くことも可能ではあるでしょう。
だが!
すでに狸になりつつある俺からすると、あえてここで留めておくほうがいい。
狸のクセを狸の風味として味わいながら堪能できるレベル、
これをなくしては狸ももはや狸ではない。
クビ肉はちょっと筋っぽくて固めで噛みきれないほど。
もっとよく煮込むとか、シチューにするといいかもしれない。
頭や頬についている肉は安っぽいチャーシューみたいな、
ザクザクとした歯応えがイイカンジ。
舌・・・は、それ程うまくねえな。
脳みそ・・・嫌味すぎるほど脳みそっぽさがあり、
かなりタヌキグセがあるので初心者向きじゃないかもしれない。
しかしほんと、このタヌキのクセを乗り切ったさきの純粋なウマさ、
この脂のコクと肉の旨みは最強クラスと言えるかもしれん。
そして俺に久しく忘れていたものを思い出させてくれた。
そう、働いてからとんと消えうせていた・・・・・ 挑戦精神を。
さらに大切なサムシングを悟らせる。
臭い、まずいと言う人がいる。
どう臭く、どうまずいのかそれを自らの舌で味わうことすらせず、
後回しにし、タヌキ君をそんな目で見続けていた自分が恥ずかしい。
今までの俺は・・・・自分は相手を嫌いじゃない、むしろ好きなのに、
みんながいじめてるから一緒になっていじめに加わるような最低野郎だったんだ。
でもこれでさらにタヌキ君を好きになったぜ!
彼がいじめられても、彼の良い所、持ち味を説いて助け舟を出せる男になった。
まぁ彼はもういないんだけどぉ?
彼を血肉にし、男として、俺は成長できた。
仲間達が懲りずにごみ漁りに来てるし、
お礼にちょっと庭に餌でも撒いてやるかな。
(嫌いじゃないけど殺して喰ってさらに好きになるとか・・・
お前さ、いずれ奥さんとか喰っちゃうタイプじゃねーの?)
え?
あははははは!
ははは・・・・
挑戦精神って大事だよな。
(怖ええええええ!!!
冗談ッ・・・ 冗談だよね!?)
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