猪の金玉の刺身




罠を引きちぎり逃げ出したイノシシを追いかけ先回り、
正面からの真っ向勝負、取っ組み合いの肉弾戦という命がけの死闘の末、
見事討ち取ることが出来たイノシシ。



体重差、手負い、牙、農用フォーク。


俺かお前か、どっちが負けてもおかしくはなかった・・・。





男VS男の真剣勝負だった。




この戦いの後にもう言葉は要らない。


同じ雄としてお前を尊敬する。

少しでもその力を我が物としたい。

お前のその偉大なるDNAを後世に残すための最重要器官。





金玉を刺身で頂くぞ。









デケー金玉だこと。



包んでいる膜や余分なものを取り除いて、
純粋に睾丸の精巣部分だけにして輪切りに。





金玉の刺身 完成。






感想




俺を振り払い逃げ切るか、奴を組み伏せ阻止するかのガチンコレスリングファイト。

死力を尽くし精根尽き果て、互いに密着してゼーゼーと息を切らし、
再び、ファイトのために呼吸を整えた。

お前を忘れることはできない。

俺の血肉となり俺の中で生き続けろ!!




おお!!!!



薄皮のところは筋みたいで口に残るけれど、
中身はクニクニクリュクリュと、
まるで新鮮なレバ刺しのような風味と歯ごたえ。

それでいてクリーミーチックで鼻に抜ける、
まるで魚の脳みそのような味はレバ刺しにはない特有のもの。


うまい。

レバ刺しが食えなくてショゲている世の中の男たちにぜひ食べさせてあげたい一品だ。


しかし、ぜひ俺と同じように、
手負いで猛然と己に立ち向かってくる自分以上のイノシシに、
全身全霊全力で掴みかかり、死を覚悟のもみ合いの末にようやく仕留めてから、
その金玉を切り取って刺身にして食べてもらいたい。

あの恐ろしい体験からのこのうまさ。

野生獣との、瞬きすら許されない真剣勝負のあとに、
その相手を糧とし腹を満たすことのこの充足と安堵感。


ああ・・・・


生きてて・・・
勝てて本当に良かった
 って感じるから。





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