皆さんご存じの至高のメニュー「黄身の味噌漬け」です。
おそらく一番知られている至高のメニューではなかろうかと。
実は鷹の訓練の活き餌用として仕入れた鶏が、
卵料理対決で海原雄山の使用したゴトウ一三〇（イチサンマル）と同じ種類だったのです。
おいおいおいおい・・・・
やるしかねえじゃん？
帝都新聞に載っていた作り方です。
味噌にガーゼを敷いてくぼみを作り、
黄身を入れたらまた味噌でサンドして３日目に食べるそうです。
モッコリ濃厚感。
というわけで後藤さんの卵。
たしかに産む数が少ないのです。
普通の鶏がほぼ毎日産むのに、
こいつらは２、３日に一個の感じです。
ウコッケイはダーッと産んでパタッと止まり、
「この穀潰しめが〜。」とこっちが思い始めた頃、
こちらの殺気を感じるのか ヤベー っとまた産みまくる感じですが。
味噌にガーゼを敷いてくぼみをつける。
そこに黄身だけ落とす。
今回はせっかくなので市販の卵と比べてみようと思います。
市販の方が黄色っぽい方です。
さらにガーゼを敷いて味噌でサンドして冷蔵庫で3日寝かせます。
黄身の味噌漬け完成！！！
| 感想 |
 市販。 濁った琥珀のような色合い。  一方でゴトウ一三○はもう少し鮮やかな透明感がある輝き。 どれどれ頂いてみましょう・・・・ むほ！      味もなんだけどこの食感が見事なんだよね。 歯にまとわりつく感がキャラメルみてーでよ。 っつーかどっちもウっっっメェエエエ！！ けど若干ゴトウの方が食べてるうちに漂ってくる香りが濃厚と言うか、 生卵の香りとは違う、少し温めた時のような香り、 例えば月見ソバに入ってる温かくなった卵を、最後に潰して口に含んで呑みこんだ時のような、 ホワ〜ンってするようなそんな感じのまろやかな風味が強いかな。 そこまで明確な違いがあるわけでも・・・・ ・・・・ ・・・・ いやちょっと待て！ やっぱゴトウの方が５１０万倍ウメエ！！！！ ってことにしておいてくれ。 （どどどど、どうした突然？？） いや、これ初卵だもん。 それを思えば間違いなくこっちの方がうまいよ。 誰が何と言おうと市販の方が負け。 初卵に比べたら市販はカスだねゴミだねホコリだね。         わかったか！ 俺が一生懸命育ててる鶏なんだからな。 もう初卵だろうがなんだろうがその中味は素晴らしくて当然なんだバカ野郎コノ野郎！ 市販なんかに負けてたまるかってんだべらんめえ！ 市販も十分に美味しいけどさ。 ボソ   そうなんだよ。 だいたいな、そもそも鷹の餌にしようと思ってはいたけれどさ、 このゴトウ１３０が海原雄山の使用した鳥と同じと気付いたとき、 じゃあ初卵で試してみるかと構想してから半年以上の月日が経過しているのです。 完璧に管理された鶏の初卵・・・・ そう・・・・。 最初は卵だったのだ。 後藤一三○の初卵で味噌漬けができっかも？ と構想した時・・・ この初卵を産んだニワトリさえもまだ卵の状態だったのだ。 鷹の訓練用に活き餌が必要だったのに、 バカな愛護野郎共のせいで法律改正、 生体の通信販売が厳しくなり、 実際はグレーゾーン的な餌用のヒヨコさえも、 自主的に通販を控える業者が多くなっているようだった。    どうしても活き餌が必要だった俺は、調べるうちに中華製の孵卵器がある事を知り、 有精卵は法律の対象外であるとわかってさっそく活き餌の自家栽培に乗り出したわけだ。  しかし数日でさっそく中華製が本領を発揮する。 当初からデジタル表示される湿度計温度計に少々の狂いがあるのは承知していたのですが・・・・ 卵を温める間、数時間ごとに転卵と言って卵の角度を変えてあげなくちゃいけなくて、 孵卵器は自動でその転卵を行ってくれるようになっていたのだけれど、 その装置が故障してしまったのだった！ しかたなく会社に行ってる間は母に頼んで手動で転卵をしてもらうことにしてしのぎました。 んが！  それから一週間もしないで再び不具合発生！ 転卵を任せていた留守番中の妹が、 温度が低くなったり高くなったりしたら知らせてくれる警告音が、 消しても消しても鳴り響いて止まらないという。 帰ってさっそく様子を見ると妙にホカホカ。 卵を一つつまむと アッチー！！！！ どうやらサーモスタットが故障してオーバーヒートしたらしい。  換気用のファンも熱で故障。  中心部のヒーターから遠い卵はそんなに熱くなっていないようだが、 直撃を受けた卵はもれなく半熟卵になっていた。    分解したことによって故障と思われていた転卵装置は、 部品の接触不良とわかり修復できたので、 かすかな望みのある卵は転卵装置の回復した装置ともどもコタツで温めることに。 しかし、母に温度を確認して強弱のスイッチを上げたり下げたりさせるのは、 もう炬燵の前にひっついてやらなくちゃできないレベルでさすがにいつまでも任せられません。   大急ぎでサーモの自作キットを購入して、 設定温度に達したら自動で切れたり、 下がったら自動でオンになるようにセットしたりしてしのぐことに。 ついに。。。。  わー！ ヒビがー！！！  そんなこんなでようやく灼熱地獄を耐え抜いて誕生したスーパーヒヨコ。 キャッワワー！   中には嘴打ち（ヒビを入れる）から２４時間経っても出てこれない子もいて、 そうなると中で力尽きて死んでしまうそうで、 人の手で殻を少し剥いてあげたりして様子を見てあげなくちゃいけなく、 それでも死んでしまう子もいましたが、 まさしく俺の手を借りてどうにか誕生した子もいるわけです。 これだけの過酷な環境から生まれたヒヨコです。 情が移って鷹の餌用に買ったのに鷹の餌として扱う事が出来なくなり、 もうペットとして飼おうかと思って可愛がってたところを・・・・    近所のバカ猫に襲われて喰われちまったり・・・・    度重なる不幸を乗り越え、配合飼料はあくまでも補助、 メインは余った野菜やくず米、放し飼い中のミミズやバッタなどで暮らしたヒヨコが立派に育ち、 来る鶏年を迎える大晦日に記念すべき初卵が産まれたのでした。 最終的にメスは３羽育ち、そのうちの２羽が同時に生み、 明日もし卵を産んでもどれが生んだのかは不明となるので、 確実な初卵はこの２個だけとなりました。  餅をどかして代わりに飾って拝んでしまい、 神前に捧げてから調理に入らせていただきました次第です。 長かった・・・長かったぜ・・・・。 まぁ仏跳牆も構想から出来上がりまで１年以上かかったしな。 ３分クッキングみたいな乗りで進めてあんまり触れてないけど、 そんな風に結構じっくり案を練ったネタもあるんだぜ？ マルチハンターの使う材料は金で買えるもんじゃねえからな。      おまけに今回使用した味噌は手前味噌。 家族みんなで一生懸命時間をかけ、 仕込んでからも一年以上寝かせてようやくできた味噌です。   大豆選びから始めた雄山先生のようにまでこだわってはおりませんが、 味噌に使われている麹はやはり自家製の米から作られた麹。   機械にはできない風通しの良い間隔で植えるための手植えに始まり無農薬。  除草剤不使用のため手による猛暑の中の除草作業。   ようやく刈り取るも台風を気にしながらの天日干し と・・・・ 家族一丸となって作っているこだわりのお米を使用しています。 ただの卵の黄身の味噌漬けなんですが、 それだけのストーリーある材料を使用した料理なんですよ 審査員の皆さん？ しかも一度も活き餌を与えることなく、 俺の凡ミスで鷹を逃がしちまって、 ペットだらけになっちまったというオチもあるしな。      海原先生の言うとおり。 結局金にもの言わせたりしてるようじゃあ、 金額に見合ううまさかどうかの判断にとどまり、 うまくてもせいぜい一時の感動。 ただ腹の足し。 心に残る料理はストーリーあってこそだと思いますね。 ストーリーによって動かされた心は味をも昇華させる！！ 秘伝脳内スパイス！！！！ そしてそれこそストーリーが相手のために書きつづられた物であれば、 どんな料理でさえ素晴らしい心動かす御馳走になれるという事さ。    （あのさー、どんなご馳走でも味に大した差がないのであれば、 食べてる相手が食材確保ストーリーに共感してくれなくちゃ、 御馳走とはつまり作る側のただの自己満足につきますよね？ だいたい食ってるときにそんな講釈長々垂れられたら逆に不味くなるって奴もいるんじゃね？） それを言っちゃあおしまいよ。 ストーリーが味に出るパターンはほとんどねえからな。 ただよ、食う時に、作った人間の苦労を解れる人間、 今味わってる味をもっと美味しく味わえる人間が今の日本にどれだけいるかってことだよな。 人が料理を提供してくれた時に、ただ食ってうまいまずいだけじゃなしに、 今食べてるものがどのように提供されているのか、 例え自作のフィクションであれ、食べながらじっくりストーリーを描き、 味を昇華させることのできる人間は、きっと自分も苦労して料理を作っている人間だけさ。 あーそれにしても・･･･ 卵一個で勝負していた時代が懐かしい！ 鼻血ブ―垂れてる場合じゃありませんよ登場人物の皆さん！ ♪アンキモアンキモ♪ |
メニューの部屋
TOP