ウサギ





猟期真っ最中。



俺の名は乞食ハンターのブービー!!



自分で仕留めた猟果はたいしたことないが、
拾った獲物、もらった獲物を考慮すれば、
そんじょそこらのハンターの猟果をはるかに上回るという。


今日もまた、近所の人から電話がかかってきた。



「あ、どうも今晩は。」

「おう今晩は。  ウサギ いるかい?」

「今日も猟行ったんですか? 撃ったんですか?」

「今日は行かなかったんだけど・・・  轢いたってのが持ってきてくれたんだ。 〜ならいるかと思って。」


「いりますいりますもらいます!」


「まだ生きてんだよ!」




何ーー!!!



「今すぐいきます!」



♪ うーさぎ う・さ・ぎ 車ではねる
  十五夜お月さん 見てるところ はーねーるー ♪  イエイイエイ!




俺は車で20秒くらいの距離を、
たぶん15秒くらいに縮めただろう。



ガラガラ  (ノックもしない失礼なヤツ参上)


「こんばんはー。」 (ウサギもらいにきましたー) 


「そこにぶら下げてあるよ」


農機具の突起に、スーパーの袋が軽く結んでぶら下げてある。


おお! 動いてる。


って・・・・・・




顔が出てるんですけど!!!



逃げるんじゃないかと思って俺は素早く押し込んだ!

このやろめ!



「へへへ。 まいどどーも。」



自宅に戻って納屋の地面にそーっとビニールを置いた。



ズリズリズリ・・・



ウサギハイハイで出てきたぁ!!!





どうやら下半身不随らしい。



かわいそうに・・・


たぶんすごく痛いんだろうなぁー。



待ってなよ。



すぐに楽にしてやるからよ。



ムンズっと足をつかんで持ち上げ、
「すまん!」っと木槌を降り下す。


カコッ と、ヒットと同時に、
ビクビクと前足が痙攣し・・・おとなしくなる。



「・・・・・・やっちゃった・・・・」



普通ウサギのキック力は半端無いはずだろうに、
まったく足には力が伝わってこなかった。


まぁ・・・近所の人がわざわざ俺のためにとくれたわけだし、
そのまま置き去りにされていたら、苦しみながら息絶えてゆくか、
後続車に轢かれてボロ雑巾のようになって、
道路脇でカラスどもについばまれる運命だったかもな。

あるいは生きたまま野生動物の餌食にでもなっていただろう。

心やさしい誰かが病院に届けてくれるってこともあるかもしれなかっただろうが、
確率としては一番低いだろうし、
そういう意味では、俺のところに連れてきてもらって良かったじゃない?


まぁ・・・これも運命ってことでさよならだな。



今度生まれ変わったら、
俺みたいな変態野郎のところに持ってきちゃう人ではなく、
「かわいそーう!」と言って抱き抱えてチュッチュしてくれて、
病院に連れて行ってくれる人の運転する車の前に飛び出しなさいね。


まぁだいたい、このサイトを見て 「ひどい」 「かわいそう」 とか口で言ってる連中の大半は、
いざてめえが野生動物とか轢いてしまって血まみれになって生きていたとしても、
何もできずにトンズラこくような偽善者野郎に違いないんだけどな。




血抜き。


夜遅かったので翌朝早くに解体に入る。



肉はもちろんいただくわけだけども・・・



内蔵もきれいに詰まっていたので、
あれにチャレンジしてみましょうか?


知る人ぞ知るマタギ風ウサギ料理のあれだよ。




あれ





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