キョン




その日、俺は飲み会で酒を飲んで、
駅まで母に迎えにきてもらっていた。

その帰り途中だった。


母「あ、その辺で何かひかれてたわよ。」


俺「え? ちょっとゆっくり!」


おー! キョンじゃねえか!! しかも結構デカい!!
しかしこの車に積み込みさせてもらえないのは重々承知。


俺「後で軽トラで戻ってくれない?」


母「冗談でしょ?」


俺「いやマジマジマジ。 俺飲んでんだよ? 運転したら犯罪だよ?
あ、なんか気持ちワリイ ゲロ吐くかも、今! ここで!
戻らないと吐く!!!」


酔った俺はタチが悪い。

家につくとすぐに軽トラに乗り換えて戻ってくれることになりました。




おっしゃー。 それゆけ母上!!

ん? あれ? 怒ってる??


気にせずすぐに作戦会議に入る。

その場所は人の家のウルトラ目の前で、
しかも道路に面した窓のカーテンが開いてる状態で電気がついており、
車が止まってドアを開け閉めして乗り降りしたりすると、
きっと住人が窓から様子をうかがいに来るだろう状況な場所でした。




そこで、左方向から現場に向かって来る途中、
Aポイントよりもっと奥でまず俺は下ろしてもらい、
家からの灯りで照らされない暗がりに潜むことに。

そのままキョンを通過して行った母には、
その先でUターンして戻ってきてもらう。

タイミングを見計らって俺はキョンの死体にダッシュする。

母は再び人家の前まできたらキョンの死体を避けるふりで徐行運転をしてもらい、
その間にすでにキョンの足をつかんでいるだろう俺は、
荷台にキョンを放り込むと同時にBダッシュ。

徐行する軽トラを追いかけながらともにその場から立ち去り、
ドアの開け閉めをしてもバレなさそうな場所まできたら 助手席に飛び乗り作戦終了。

完璧だ。



では母上、準備はよろしいか?

つーかそのまま置き去りにしないでね。



ミッションスタート!


手前でおろしてもらった俺は、
民家の横のキョンの死体が確認でき、
かつ家の住人からは見つからない位置に陣取った。

そして、やがてUターンして戻ってくるだろう軽トラとの、
絶妙な位置を探そうと人家の前を屈んで移動中、
突如、家から強力なライトによって照らされた!









ゲゲ!

住人登場!

俺@人生最大級ピンチ???









と思ったら駐車場のBポイント付近に設置されたセンサーライトだった。
俺の動きが探知されてしまったらしい。




びぃ〜びっっった〜〜〜!!!!




ほっとしたけど、それでもまだやばい!!

今住人が様子を見に来たら、
まるで俺が車にイタズラしに来たみたいじゃないか!



どうする俺!?



酔っぱらいは決断した。




堂々と拾おうぜ。


もしこっちを見られたときに変に車の側でウロウロしてるよりも、
死体の側をウロウロしてる方がかえって怪しまれない気がするぞ。


俺はセンサーライトによって明るく照らされているキョンに向かっておもむろに歩きだした。




そして写真を一枚撮り、
逆に人に見せつけるようにモーションデカくキョンにつかみかかった。

この状態でスタンバイしてればもう車泥棒や、
家にイタズラしている様にも見られない。

どこから見ても死体に興味を持ってるどこかの変態にしか見えないだろう!


俺は泥棒より変態の道を選ぶ。

さあ見てくれこの俺の勇姿を!!


などと今は書きつつも、
そのときは心臓ドッキンドッキンしながらキョンをつかんでいたら、
やがてセンサーライトが消えてしまい、
そうこうしているうちに母の軽トラが戻ってきた。

ライトは消えたが、住人がこちらを見ている可能性もある。



おーいおーい!

と道で手を振り、
もう徐行の必要性はないことをアピール。

車が停止し、堂々とキョンを放り込み、
堂々と扉を開けバタン!っとわざとデカク音を立てながら乗り込んだ。


俺「オッケー! レッツゴー!」


母「ちょっと・・・話が違うじゃない?」


俺「いや・・それがセンサーライト作動させちゃってさ・・・ 
もう逆に堂々と拾った方がほうがいいかなぁー と。」

母「見つかったの?」


俺「いや、わからん・・・ たぶん大丈夫。」


母「いい歳してこんな事で通報されたら、
  近所中で評判になるから気をつけてよ。」


俺「・・・・・さーせん。」




いやーしかし今回はビビったね。

夜中にドキドキしてるときにセンサーライトってかなり効果あるよね。

かなりスリリングだったぜ。

泥棒もセンサーライトを作動させたときってあんな気持ちなんだろうなきっと。。。





夜のうちに内臓だけだしておいた。
ちょっと胃袋試してみるか。



そして朝一で解体。



オスで角もあるし、良さそうな頭蓋骨のオブジェになるかと思ったんだけど、
残念ながら頭蓋はバッキバキに破壊されちゃってました。



もう今年は狩猟でイノシシ狙うのやめてもよさそうだな。

量的にはこいつだけで十分楽しめそう。





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