キョン





仕事帰り。

迎えに来てもらった車の後部座席で鼻くそほじってる俺。


「んあ? 今のキョンじゃね!?
 ちょっと状態見たいんだけど!!!」


「この車に積まれたらヤダからヤダ。」


「・・・・・・」


鼻くそシートにペト。
ってしたい気分。




軽トラで舞い戻る。



おお! 状態は良さそうだ。 テイクアウト決定。


と、写真を撮っていたときに、遠くから車の明かりが。

やばい! バレる! 

即座にキョンの足を掴み、 軽トラまで おらぁ! っと風車投げスイング。



ブン!  ドカッ!!!!   ボテッ。



勢いが良すぎて軽トラのハウスにぶつかり荷台にゴールイン。

そして俺自身は軽トラに乗り込むまで至らず、
道に突っ立ってそ知らぬふりでやり過ごそうとするが。。。


車が俺の横まで来てスピードを緩める。


ゲゲッ  ・・・・・なんかスゲー凝視されてるようだぞ・・・・。



もしかして拾ったの見えてたかな?


顔までよく見えんが、仕方ないので「どんもー」と会釈をして、
軽トラに乗り込むと車も去っていった。





セダンで低いし、おまけに暗いからここまでは見られていないはず。

たぶん心配してくれたんだろう。

「パンクでもしたのか?」的に。




サイズ的には小柄な固体。

解体は明日の朝にすることにして、
納屋に吊り下げて首に切れ込みだけ入れておいた。



・・・・・翌朝・・・・・・

解体開始。

いつも通り皮を剥いで内臓を出そうとしたところだった。



なにやら重めの内蔵がボロリと露出してきた。


胃・・・じゃねぇな?

なんか中に奇妙な形のものが入っているが・・・・





もしや!?

チョキチョキチョキチョキ・・・







出たぁーーーーああ!






手乗りキョン。


スゲー可愛いんだけど。

生きてる状態のをこのサイズでペットとして売りに出したら、
先の見通せねえバカ共がたくさん買ってくれるに違いないぜ。

で、数か月で手に負えなくなって、どっかに置き去りにされて、
害獣として駆除されてさよならと。

無責任なやつが可愛いからってだけで生き物飼うんじゃねえよ!

最近は動物のペットどころか、人間の子供ですらペット感覚で生むゴミ親がいるから困るよな。

おっと・・・・また話が脱線しそうだからやめとこ。



つーかヒヅメがゼラチン質。


これは・・・・サムゲタンみたいにすれば丸々食えるかもしれんよな。

捨てるにはすごくもったいない気がするんだけど、
狩猟だの駆除だの何だので獲ったときに、孕んでて胎児がいたときってみんなどーしてんの?

食ってるの? 捨ててるの?

お勧め調理法とかあんの?




ここまで完全体に近いと臓物の一部というよりも、
一生命体として扱い食材として利用してやらないと って気になっちゃう。

一羽のヒヨドリの皮引ん剥いて焼いて食って喜んでる俺からすると、
このウシガエルレベルキョンは十分価値があるものに見えてしまう。

余りにも未熟すぎる、
タツノオトシゴみたいなレベルはさすがに食う気起きないだろうけど。


つーか解体中にビショビショと液体が垂れてきて、
「やべ! 膀胱切っちまったか!! それとも轢かれて破裂してたか!」
と思ってたんだけど子袋の中身だったんだな。 納得。




死因は内臓破裂のようだな。

肝臓が引き裂けて、胃の内容物も飛び出してぐちゃぐちゃ。

肉にこびりついちゃって洗浄が大変で、
それでも落としきれないものが多くてだいぶ切り取った。




いやーしかし、自分の家だと好き勝手できるよな。

実家に持ち帰ってたときは、
「また拾ってきたよこいつ」って感じだったけど。




残骸埋める場所も困らん。



とりあえず背肉で焼肉といきますか!



ところで千葉はどーか知らないけど、
どっかのイノシシからセシウムとかなんとかが検出されたって言ってたじゃん?

こいつらはどーなの?

千葉じゃお茶がヤバかったし、
こいつら植物ばかり食ってるじゃん。


まぁ 不安だなぁ・・・とも思うけど、
井戸水と一緒で今回は気にせず利用する。


これからは自然のとれたて轢かれたてよりも、
一生日も浴びない建物暮らしで抗生物質を食わされまくってる
ブロイラーとかのほうが安全って時代かもなぁ・・・・。


やな時代。




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