古民家の妖怪鼠





俺が手に入れた古民家。



現在、というか未だにコツコツ修復中でありますが、ようやく屋根裏がほぼ完成し、
そろそろ階段のニス塗りでも始めようかなーと思っていたところでした。



が、

暑くなって釣りに逃げ、今度は寒くなって狩猟を楽しみ、
結局丸一年ぐらい何もしないまま時が過ぎ、
さあそろそろいよいよ階段の色塗りでも始めようかと思ったところで、
ようやく古民家の異変に気づいたのでした。




なななっ・・・?



食べ物があるわけでもないのに、あちこちにネズミの糞が・・・・!!!





それは家中あちこちではあるけれど、
ポイント的にまるで糞をする場所を決めているかのように。

ウンコだけでなくションベンも決まってそこでしているようだ。



まさかネズミという動くゴミみたいな病原菌の塊野郎に、
繊細なトイレという感覚が備わっているとは驚きです!






さっそく、特に糞の量が多い階段に、
いつもどおり撒き餌と箱罠を仕掛けるも、
数日経過しても罠や餌にまったく何の変化もなし。





なのになぜか糞の量は増える一方。





うぬぬぬ。。。。

その後も、各所の糞の溜まるポイントに罠を転々と仕掛けるも、
間違いなくその周辺に糞をしに来ているのにまったくかかる気配はゼロ。

撒き餌にすら変化なし。


まさかあの時のネズミ紳士が、実家からこの古民家に越してきたのじゃあるまいか??


いや・・・まさかそんな・・・!!??

しかし、現れているのに罠のエサは食べないどころか、撒きエサさえも食べないとは、
レベルで言えばあのネズミ紳士に匹敵する固体とみなしていい。


だとすればだ・・・




このままでは俺に勝ち目はない。

もう実力はネズミ以下の俺なのです。




しかたない、こうなっては捕らえた後に少々苦しませ地獄を見せることになるだろうが、
アナザーウェポン ペッタンコ で勝負してみることにしよう。

これをやはり特に糞の多い階段のステップに。




たっぷり。

ステップ全部に4000円分仕掛けました。

怪しいけど、でもそこまでここでウンコしたいならいずれかかるだろう。

ウンコは我慢できるものじゃないからな。







しかし・・・・・

この作戦でも何故か一向にかからないどころか、
この俺に冷や汗をかかせるようなできごとが・・・・!









ど、ど、どういうことだ!?







ペッタンコの上に糞がある!





なのに・・・・・・  足跡一つ残っていない!











ネズミのオバケだぁーーーーー!!!








ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!



ネズミを殺しすぎたのか?

ネズミの祟りなのか?

死者を晒し者にしたあげく、チャラけてネタにしたことで命を冒涜しすぎたのか?

ネズミのさ迷う魂がついに化けて出たのか?

俺がネズミ人間になるのも時間の問題かー?





思わず古民家に設置されている神棚に向かって、
「なにとぞなにとぞ・・・・」と祈りそうになったけど、ちょっと待てよ。





悪いのは全部ネズミだろ?



やつらが先に手を出してきたから始末してるだけだろ? 俺は?

狩猟してるわけじゃねえしな、そっちが何もしなけりゃこっちも何もしねえよ。

そもそもここは俺の家だ。

殺し方だって水攻めが一番慈悲深いだろ?

晒し者?

ばかやろー 遺影代わりだろうが。





俺が恨まれるなんてありえねー。

逆に感謝されて然るべきだろ。

ネズミのお化けが、俺をビビらすために仕組んだなんてトンでもねえ。

足跡が無いのはきっと、ペッタンコのトリモチ部分を回避しながらエッジ部分を歩いたわけで、
ウンコはジャンプしたら、力み過ぎて空中でウンコが漏れた結果に違いない。

そしてジャンプ中にウンコを漏らしたネズミは、
一歩間違えれば罠にかかって死の危険性を含む中で、、
動物が生きていくうえで避けられない排泄を行い、且つそこに伴う排泄後の爽快感、
この罠飛び越し空中脱糞というアブノーマルな世界観に支配されてしまったのだ。

それからウンコは常に空中ウンコにすることに決めたんだろう。

間違いない、敵は変態マゾネズミに違いない。




その夜、俺の推理を立証すべく、
夜中にこっそり懐中電灯でのぞきに行くことにした。

いずれここに住もうとは思って改装中だけども、
夜中に真っ暗な中一人だと結構くるものがあるなぁ・・・。



それよりあの糞の量だ。

夜中はきっと運動会場になっているはずだぜ?

との推測で、しばし玄関口で気配を殺し、ネズミの走る音などが聞こえてくるかと思ったが、
15分ほど待ってもらしき音は聞こえてこず、
時おり風に押されて、建付けの悪いガラス板の木戸がガタンガタンと音を立て幽霊嫌いの俺の恐怖心をあおるだけ。



仕方ない。 ちょっと奥まで様子を見に行くか。。。。。


と、ヘッドライトの明かりを点灯しネズミがいたらすぐに写せるように、
カメラをスタンバりながら障子戸をゆっくりと引く。







「ネズくん   い、 いますかー?」





・・・・・・




シーン




ヘッドライトの明かりを頼りにネズミを探し出すが、
どこにもその姿を確認することはできない。

よし。 ならこの奥の二階への階段部屋はどうだ?

と、土間から居間にあがって居間の電気を付けようとしたところ、
目の前を黒く薄い影が ヒュヒュンッ  と横切った。




んな、 なんだ!?



その影が再びヘッドライトの明かりで照らされている視認範疇を横切ったとこで、
「あ! なるほど!」と、その正体がわかるとこれまでの疑問もすべて解決。

と同時に俺の体は考えるよりも先に、奥の階段部屋に通じるガラス戸に向かって走り出し、
半開きになっていたそれをしっかりと閉め、その生物を居間に閉じ込めることに成功していた。




ガハハハハハ!!!!

暴れても無駄だぜ。 俺は居間の電気をカチッと付けた。

闇で生きるその者が、
退路を絶たれ、おまけに突如明るい世界にワープしてしまったわけだ。

きっとそいつの頭の中は、人生初のテンパリ具合に違いなかっただろう、
あっちこっちバシバシぶつかり飛びながらようやく落ち着いたのか飛び疲れたのか、
本来のその生物のあるべき体勢をとった。

シャッターチャンス。







犯人は・・・・・・・・


























バットマンでした。

道理でね。

地面の餌は食わないは、罠に変化もないは、なのにウンコは増え続けるはだよな。



まさかコウモリが家の中に住み着いていたとは。


俺の家はまだ洞窟レベルってことか・・・








このツラこのナリ・・・・


敵キャラ感ハンパねーな。


昔芝川の土手でつれたのと同じ種類のアブラコウモリかな?







よくよく糞を観察してみれば、ネズミの糞とは微妙に違っているかな?

ネズミのしっとりしたウンコと比べると、
コウモリのウンコは全体的にボコボコしているというかなんというか、
ひねりが加えられた感じがあるよね。


相手がコウモリであるならば、鳥獣法上、捕って殺すわけにもいかねーし、
どっか入ってきてる穴をふさがないといかんのだけども、
先も言ったように改装中で穴だらけなんだからもうほっとくしかねーわ。

まぁネズミと違って糞害だけで、何かを食害されるようなことはないからな。

床には新聞紙でも引いておこう。





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