毛皮の鞣し方(備忘録編)



皮の鞣し。



かつては自分なりになめしてみようとテキトーに頑張っていたのですが、
結局はガビガビになったり毛が抜けて朽ちたり、
うまくいきそうと思ったらタヌキに持っていかれてしまったり・・・
とで、結局ヤル気なくなって終わっていました。







コレやれば何とかなるのかもしれねーけど、
ウサギでくたびれてんだぜ・・・・

イノシシクラスじゃアゴがいくつあっても足りねーじゃん。




そして月日は流れ・・・・




古民家に放置されていた先住者の持ち物。



中には軍隊日記などの興味深げなものが含まれており・・・・



備忘録。

中身は「我が家の献立」等、
別に忘れたって良さそうなもんじゃん? 的なものばかりであり、
つまんねーからゴミとしてポイしようかなぁ
とペラペラめくっていたらノートの切れ端が挟まれていた・・・・



んんん???




なななな、なんだこれは!!!???




聖書 発掘。



なんとそのノートの切れ端には毛皮のなめしの方法が記されていたのです。


ノートの横には大日本製糖株式会社 南大東島出張所 と書かれている。

どういう経緯でこの千葉の古民家にあるのか・・・。



紙もかなりボロボロで見返してるうちに破けそうだったので、
保存と自分なりに理解するのも含め、
以下、メモの内容をなるべく原文のままに記したいと思います。

昔の漢字使いなので難しい場所もあり、
理解できる場所は読み方や最近の漢字遣いをピンクで記し、
オレンジ文字部は私には判読不可能箇所につき参考画像を添付します。

追記:皆様のご意見により判読できた箇所を赤字で追記します。






原料皮の塵をよく拂い落し(払い落とし)水漬けする。
水漬は夏なら夏季なれば二、三時間、冬季なれば半日から一日。之は乾皮の場合。
生皮の時はその程度によってほんの少時間。
盬漬(しおづけ)の皮は盬の泌出すまで長々つける。
水に漬けるには皮全体がよく漬かる様重石を載せて置かねば、
一部分が浮上がれば其の部分だけ裏すきが出来難くなり、
又水に余り長く漬け過ぎれば脱毛の憂があり。
此等の作業を戻しと稱す(称す)。 
参考

夏季は戻し水の中に少量の食塩を投入すれば、
●●水漬けの時間を過しても脱毛の憂いが少なく、 参考 仮令(たとえ)
乾皮の場合は硼砂の温液に漬ければ速やかに戻すことが出来る。
硼砂は多少量を過しても皮には害を及ぼさず。

水漬が終わらば水より引出したる皮の裏面に付着したる肉塊 脂肪塊 並に筋の如き薄皮を
竹箆(竹べら)又は包丁、小刀の如きものの先で擦落、此れを裏すきと稱す。

此の薄皮をよく剥がして置かぬと鞣しが完全に出来無し。
枚数の少ない時は皮の裏にメリケン粉をつけ指でこすれば付着したものは、
悉く(ことごとく)團子(団子)の様になり皮を損傷せずして完全に裏すきができる。

裏すきの後更に脂肪抜きをする事。
これは毛皮・皮に含んでいる脂肪分を除く作業で、
マルセール石鹸、或いは上等の洗濯石鹸と洗濯曹達を同量に混じて熱湯に溶かし、
之を微温湯になる迄冷まして其の中に裏すきをしたる皮を浸し幾回も上下に攪拌し
特に汚れたるものは亀の子タワシなどでよく擦すって汚れを落とし毛皮がすっかり綺麗になったと思慮で引揚げ
数回水洗し全く粘着性のなくなったとき最後に微温湯で洗い石鹸分をすっかり除く。
脂肪抜きの石鹸と曹達の加減は普通の洗濯に使用するものより少し濃くする。


鞣法の一 明礬鞣

(イ)
  ナメシ液分量
 明礬=100分、 食塩=50分、 水=500分(明礬は原料皮目方の十分の一)
 の割合で濃厚液を作り薄い毛皮なればこの液の一部をとって水に稀釋(希釈)して十度の液として、
 裏すきの終わった毛皮を浸し翌日にはさらに濃厚液を加え二十度とし、
 第三日には三十度とし、毎日必ず二、三回づつ攪拌して置けば、
 皮は次第に白色に變じ(変じ)、其の成否を見るには皮の一部分を絞りたるものが
 恰も(あたかも)濡れたる日本紙を搾りたる様に純白色になれば、
 其れは既に完全に鞣されたるもの也。

 然し未だヌルヌルして水が絞れなかったらまだ不完全であるから、更に鞣液に漬ける事。

(ロ)
  ナメシ液分量
 明礬=原皮の百分の十、 重炭酸曹達=百分の二、 食塩=百分の三、 水適宜
 (明礬は支那明礬、焼明礬は不可)

 煮沸した湯にて先ず明礬を溶解し、次で炭酸曹達、食塩を投入し、
 冷ゆるも待って水洗したる原皮を鞣桶に入れ、漬水を皮が位に入れて後、
 前期の薬液を加へて良く攪乱し、皮全部に浸みこませて置くと二、三晝夜(昼夜)で鞣れる。

 其の液を引續き(引続き)使用する場合は新しく入れる薬の量は二分の一乃至(ないし)三分の一で足ります。
 注意すべきは薄いものを鞣す時、最初に濃厚液を使用すると皺が生ずる恐れがあり、
 尚又素人が家庭でする時には明礬や食塩は原皮の目方の十分の一乃至二にし水は皮の全部へ浸かる程にすれば可也。


完全に鞣せたなら之をよく絞り擴げて(広げて)天日で乾燥し、
乾燥後は直に刷毛で漬水を裏面に塗り、
肉面を内側にして布切又は筵(むしろ)に等に包み数時間重しをのせて置き、
水分が皮の中心まで適当に湿った時、箆掛器がなくば洗濯板にかけて裏を擦るか或いは
筵の上から足で踏んで鞣らかくし僅かなら筐(カゴ)や桂等にて内面をこすりつけながらよく揉んでは日に晒し、
幾度も此れを繰り返し硬化せぬ様にする。

其の後軽石又は裏磨機で裏面の厚さを均一にし、
紙鑢(かみやすり)等に鞣かにして之を張板に張って乾燥し皮の裏表を竹鞭でよく打って、
付着物を打落とし毛を十分立たしたむれば出来上がり。



鞣法の二 混合鞣

最初皮を明礬と食塩とのき液に浸し一昼夜間漬けて置き  参考 強き
次にタンニン剤の溶液三度以下のに漬替へ三時間毎に攪拌して、
溶液が一度に下がる迄漬けて置きさらに六度に液に入れて数時間枚に攪拌する。
其の法は充分鞣される迄継続し愈々(いよいよ)完全に鞣されたならばよく水洗し
乾燥して仕上げをするのは明礬鞣と同様揉際に水一ガロンに比麻子油石鹸又は他の石鹸五ポンドを入れて沸騰し、
之に一マートのパラフィン油を加へて乳状となるまでよく攪拌したるものを薄く皮の肉面に塗ると可。  参考



鞣法の三 クローム鞣

これには一咨法と二咨法との二種あり。  参考
兎毛皮の如きは、何れの法でも完全也。素人には一咨法で十分也。

 ナメシ液分量
水=皮の目方と同量、 クローム明礬=生皮の目方の十分の一、 洗濯ソーダ=クローム明礬の三分の一 の液を作る事

其れは先ずクローム明礬を水に溶かして置き別に洗濯曹達を少量水に溶かし
これをクローム明礬液の中に一滴づつ加へながらく如終攪拌し沈澱のない様に混合させます。  参考 強く

液が出来たならば脂肪抜きしたる皮を桶に入れ丁度皮がかくれる程度に水を入れて
先ず右の液の1/3を加へ、一時間程斷免ず攪拌し、  参考
更に残っている液の半分加へ時に攪拌し翌日に残りの液全部を加へ又攪拌し
鞣の成否は皮の一番熱い部分を切って見て中心まで變して居れば可也。

鞣が終わったならば之を一夜棒に掛けて置き翌日これを温湯で洗濯する事一時間。
更に1%温湯重曹液にて一時間程皮を洗ひ最後によく水洗する。
この操作はクローム化合物の余變や或いは遊離酸が皮に残って居ると後に皮に害がある故これを取り除く為洗滌(洗浄)したる

クローム鞣の皮は其の儘(そのまま)乾かすと堅くなる之にさらに油を加えることを要する。  参考 故(ゆえ)
それには次の液を作って其の温かい間に先に中和洗滌したる皮を入れ手で約三十分間よく揉み
皮の中心迄よく油を喰ませる。充分に油が皮に吸収された時にはその加脂液は透明の水になる。

  加脂液  油=ナメシ上たるぬれ毛皮の目方に對して百分の0.5
  石鹸=油の二倍
  水=少量

油は植物性油では落花生油 菜種油 ヒマシ油がよく
動物性では精製したる馬油 牛脚油を用いる
液の作方は先ず石鹸を熱湯に溶かしこれを煮沸しながら油を一滴づつ落とし強く攪拌しつつ乳状液を作る。

乳状液の熱い間に温湯を加へその量を恰度(ちょうど)毛皮を入れる位の量に薄める。

加脂が終わったならばこれを棒に掛て乾燥し前記明礬鞣と同様にして揉み柔らげる。
猶ほ一旦明礬で鞣めしたものに對し(対し)更にクローム礬液で液すことあり・・・・・終わり。




ですってばよ。

失敗続きの皮なめしに希望の光。

今度これを参考に再び挑戦してみて、
うまくいくようであれば実践編をUPしたいと思います。








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