井戸修理





この土地に引っ越してきてから15年が過ぎようとしていますが・・・。


とうとうメインの井戸がやばい状況に。




この井戸は、ここに住んでいたじいさん曰く、
江戸の後期ぐらいからあるんじゃねえのくらいのもので、
地面を水源まで掘り下げて、
その内部に、山から削り出した岩盤で壁を作った、
丸井戸と呼ばれるタイプものです。

深さは3mくらいでしょうか。
使いすぎるとなくなってしまったり、
雨が降らないと涸れてしまうこともよくあります。




こちらは40年くらい前に掘られた井戸で、
30m位の深さまでボーリングの機械で堀り、
塩ビパイプを埋め込んだタイプの井戸です。

涸れることはありませんが硫黄のような鉄臭さがきつく、
丸井戸がダメになったときに臨時で使用しています。



そして最近その丸井戸のほうが・・・・







水が濁ったまま戻らない。



これまでも雨が降った後には濁っていたものの、
どんなにひどくても数日で透明に戻っていたのですが、
それが何日たってもいっこうに濁りがとれなません。



「ちょっと掃除してみるか?」





と、ポンプで水を抜いてみると、井戸の底には大量の泥が。




その泥がどこから来ているのか深くも考えず、
バケツで泥をかい出し、しばらく様子を見るもやはり濁りは消えず、
しばらくして再び水をポンプで汲み出すと、
再び泥が底に溜まっているのです。


しばらくそんな作業を繰り返すうちに、
「水と一緒に流れ込んだのだろう」と思っていた泥でありましたが、
いよいよ「どっから来てんだこの大量の泥は?」 と。



さっそくこのようなノビールカメラを購入して、
井戸の底を調査してみると・・・・



どうやらこのように井戸の壁の外側の土が崩れてきているらしい。

これじゃ濁りも止まらないわけだよ・・・・。



もう一つのボーリングで掘った深井戸は、
丸井戸が使いすぎで枯れてしまったときなどに臨時で使用しているのですが、
臭いがきつくてあくまで応急の井戸。

比べて丸井戸はとてもまろやかで美味しいのです。


しかも普段の水の流量も大変すばらしく、
このまま濁ったままにしてダメにするのはもったいないよね。

というのが家族の意見で、
インターネットで見つけた井戸の修理の専門家
というところに連絡を取り早速みてもらうと、



「ここはもうあきらめて新たに一本ボーリングで掘る方がいい。」



という意見。

まぁ深さにもよるけど、この辺なら30万から50万くらいの範囲で出るんじゃないですか? と。

新たに掘ったからといってうまい水がでるとも限らないし、
この井戸はつまりどうなってんの?


って聞くと、「う〜ん」と具体的な意見はでてこない。


しかも俺たちの話を切いて推測するだけで、
怖いから中には入りたくないと。

こういう土方作業になる井戸の修復を行う業者はもうほとんどいないらしい。



新たに掘るのにそんなにかかるなら、
とりあえ自分達でやってみようぜ?



ってことになりました。






というわけで、このような方法で、内部に巨大な塩ビパイプを埋め込んで、
水源から直接水を取り込んでみようという方法を考えました。



しかし何故だろう・・・・
すでに水源近くから出てくる水自体が濁って見えるのは・・・・

そこで、まずは井戸の周囲を、水源近くまで掘り下げてみようということになり、
とりあえず井戸の周囲にシャベルを突き刺すと・・・




ボコ! うわぁ! なんだ!?




・・・・・




こ、これは・・!!



すでに地面の表面スレスレまで地盤沈下が進んでいた模様。


これは危なかった・・・・

もうちょっと知らずに放っておいたら、
誰か落ちて死なないまでも結構なダメージをくらってたんじゃないだろうかい?



それから土日は井戸修復作業となる。



まずは水源の真上に位置する穴を掘り進めて、
水源がどうなっているのかを確認してみることに。


ところが・・・・

ある程度進んだところでやばいことに気づく。





な、なんか井戸が傾いてきたぞ???



井戸側に使われている岩盤がどうやら寿命を迎えているらしく、
これまで周りに土があったおかげで何とかその寿命を保っていたようで、
土が無くなったことで自身の体重すら支えることもできないくらいモロくなっているらしい。



次々に岩盤に亀裂が走り、このまま掘り進めると間違いなく崩壊・・・・






下で作業していればシーザーと同じ運命をたどらざるを得ません。


「もうこの岩盤も取り除いて一からやり直すしかなくね?
 このまま外だけ掘っていくって不可能だよ。」

ということで、掘り進めると同時に井戸側も取り壊すことに決定。




まずは一番上のレンガ造りの重い枠を軽トラで牽引。



残る岩盤は手作業で取り除いていく。



あららららーーーーーーー!!!



ひどい岩盤は持ち上げただけで簡単にボロボロに崩れ落ちてしまった・・・・。

動画


ということで井戸の周囲を慎重に掘り下げつつ、
中に築かれた岩盤の壁を一つずつ取り除く日々・・・・。



めちゃくちゃ重い。

崩れないでちゃんとした岩盤もあり、
重さはこれだけで80kgくらいあるんじゃないでしょうか。



そしてある程度岩盤が取り除けたところで、
今度は周囲の土が重力に耐え切れず、ボロボロと崩れ落ちてきて作業がままならないどころか、
雨が降って水位が上がると、穴が広がってしまって家のほうまで崩れそうな勢い・・・・


このままじゃ危ねえよ。 木で枠を作ろう。



けど・・・・・



材木が足らないんで今日はこれで応急処置だ。



そして雨が降りポンプも追いつかずこんな状態。
応急処置でもやっておいてよかったわ。



ところで掘っていてふと気になったのが、
何故か深い地層の中から米のモミガラや藁が出てくるのです。
よく見るとうっすらとモミガラ薫炭が層のようになっていて、
それが井戸の周囲をぐるりと囲むようになっている。

おそらく昔の人が地面から浸透してくる雨水を、
濾過するための活性炭代わりに敷き詰めたものと思われますが、
全然腐らずに残っているとは驚きですね。

ということで後で我々もこれを見習ってあとで薫炭を敷き詰めよう。





材木購入。

そしてエンジンポンプではどうも作業効率が悪いと、
一定の水が溜まると自動で排水する水中ポンプも購入。



徐々に補強しながら、残りの岩盤を取り除き、
ようやく底まで行き水源を確認するにいたる。



これが水源。

動画

元々はもっと下にあったであろう水源の穴が、
今は井戸の底よりも上に位置している。

水源の水はきれいなようで安心。

やはり崩れた粘土質の泥を巻き込むことによって濁っていたようだ。



そこでここからパイプで水を取り込み、
井戸の下まで延長して作り直すことにする。



そんな作業の中、
買った水中ポンプを俺が蹴飛ばして落下させてしまい、
インペラ部分を破壊してしまい修理に出すことになり、作業中断。




新しいポンプを購入することとなる。

めんご。

水中ポンプなんか今度二度と使うことがないだろうに二個も買っちゃったね。




井戸側(いどがわ)発注。
コンクリートヒューム管とも言う。

このまま前と同様に井戸側を設置するだけでは、
前のようにいつか泥が崩れてきてしまうかもしれないので、
井戸の底、そして井戸側の周りに採石、砂を詰め込んで、
泥の進入防止、そして雨水の濾過を行うための層を作ることにする。



栗石、採石、砂利、砂、土。



一番底と底周辺の壁に栗石を打ち込んで、玉砂利を敷き詰めて水平をとり、
人力でも持てる重さのハーフサイズの井戸側を設置。

一番底には穴をあけたパイプを30cmほど埋め込んで、
掃除をするときにポンプで水を抜きやすいようにしておいた。



さらに一番下の井戸側周りと内側にガッチリと栗石を打ち込み、
砕石、玉砂利を敷き詰め動かないように固める。



ここから先の井戸側は高さが深くなり、重さも倍にアップするので、
軽トラックとチェーンブロックを使用しておろしていく。



そして井戸側の周りも砂利、砕石で層を作っていく。



ある程度砕石を詰め込んだら、
チェーンブロックを使用して土崩れ防止のベニヤ枠を引き上げ、
何度もそれを繰り返す。



そんなこんなで最後一つ前の井戸側・・・・。



この井戸側にはパイプを通さねばならないので、
ハンマードリルで穴を開けないといけない。

そしたらホームセンターでレンタルで借りてきたドリルがぶっ壊れてやがって、
しょうがないので家の普通のドリルで地道に穴を開ける。



すげー時間かかった。



地面のすぐ下に位置する表層に砂と籾ガラ薫炭を敷き詰める。



ついでに前に井戸側に使用していた岩盤も邪魔だから埋めてしまう。



最後の井戸側を設置して山土をよく打ち固める。



最後の井戸側がずれないように、
周囲に栗石を打ち込んでコンクリートで固める。



井戸の修理完了!



それから念のため2週間ほど水を溜めて抜いて溜めて抜いてを繰り返し、
ようやく緊急用の深井戸から切り替えて、通常使用するに至りました。

この修理をしてからは雨が降っても数日で・・・




この通りバツグンの透明度に戻るようになりました。

全部で掛かった費用は20万です。

俺が水中ポンプを壊して二個買ったのや、調査のノビールカメラも含まれますので、
実質15万くらいかな。

新しくボーリング井戸を業者に掘ってもらうよりも安くすんだし、
何よりも! 大変貴重な経験ができたことに感謝です。
ダメになってくれてありがとう!



まぁもう二度とやりたくないけどね。





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