魚の剥製の作り方




魚の剥製を作りましょう!

子供の夏休みの自由工作にでもどうですか。


魚の剥製というのは、作る過程から出来上がり方までいろいろあって、
製作の難易度もそれこそピンからキリまであるようです。


ここでは一番簡単な、片面剥製(口閉じバージョン)の作り方を紹介します。



・・・・・・

っていうかこれしか作れないんですよ  俺は。



まずは重要な材料や工具を準備する。

石膏

魚の自然なままのプリプリしたラインを型取りできる。
ホームセンターで売っています。2kg入りで1000円くらい。
ホルマリン

薬局で売っていたり、取り寄せしてもらえる。
購入には印鑑が必要になる場合があるので持って行こう。私は拇印でOKでしたけど。
500mlで800円くらい。
木台

剥製にする魚より長めのもので、見た目もカッコいいものを。
飾る時の壁掛けに使うのと、作る時の作業台も兼ねる。
800円。
油粘土

普通の粘土ね。
魚のヌメリとか汚れとかつくけど、そういうのを練りこんでいちおう繰り返し使える。
いわゆる魚の形をした40cm程の魚で500g入りが3つ必要になる。
ひとつ200円くらい。
紙粘土

壁掛けにするのなら軽い紙粘土がよい。
40cmサイズの魚で500gが二つ必要。
ひとつ150円くらい。
厚紙
クリップ

家中のをかき集めたぜぇ〜・・・
絵の具セット

乾燥して色艶のなくなった魚に色づけする。
普通の絵の具よりも、油絵の具とかアクリル絵の具が塗りやすいらしいが、
気・に・す・る・な。
スプレーニスやクリアラッカー

500円。
ガーゼとかそんなの

魚を洗ってぬめりを取ったり、水気を拭いたりするのにあると便利。
工具

粘土ベラ
スプーン
カッター
ピンセット
ハサミ
ニッパー






材料がそろったら次は魚調達。

材料調達前に先に魚を釣ってしまったら、
手を加えずにそのまま冷凍庫に保存して、材料がそろってから解凍しましょう。




魚は・・・・・





ブラックバスが良いでしょう!


え? 何でかって??

そりゃ腐るほどいてすぐ手に入るし、
俺の場合は喰いたくないときに釣れても殺すからさ、
だったら剥製の練習にでも使ってやるのがいいんじゃねえの?
ってのは俺の個人的意見なんだけどね。

実際、ブラックバスは皮や鱗がしっかりしていて初心者に扱いやすいってのもあります。
ウグイとか鱗の細かいのでやろうとしたら、俺の手には負えませんでした。


 ※ 釣ったらすぐに写真を一枚撮っておきましょう。
   色付けの参考に。




釣った瞬間のバスと死んで時間の経ったバスでは色彩がかなり違ってきます。

活きているときは全体的にはブラックというより、淡いグリーン系なんだね。
ヒレは透き通っているし。




魚を持って帰ってきたら、目玉の直径を計ってパソコンに向かいます。

目はくり抜いてしまうので、義眼を入手せねばなりません。

GOOGLE で 「手芸 クリスタルアイ」とか検索して、
魚の目の直径や色にあった物を選んで注文しておきましょう。

手芸の山久は結構いろんな種類があります。

女の子の知り合いがいれば、
そいつのぬいぐるみから ブチッ と、ちょっぱってきてもいいかもね。




ちなみに目も、活きている時と死んだ後では印象がまったく違うので参考に。



活きているときの目の色は真っ黒に近いので、
「山高ボタン」というものでも大丈夫だと思います。






注文が終わったらすぐに型取りの準備に入ります。
時間が経過してしまうと魚体のハリがなくなってしまうみたいなので。




木台にサランラップを巻いて、作業台にする。



バスを乗せる

剥製として完成したときに好みの向きになるほうに向けます。



このままでは頭、尻尾が台についた状態でだらしない。



こんな感じで粘土で台を作って盛り上げてやる。



細く練った粘土をバスの周囲に。

粘土の高さとしては背ビレや尻ビレの下になるように。



ヘラを使ってバスの体に密着させる。



長く練った粘土をつぶして平たくする。



それを巻いていき、堤防を築く。

ヘラを使用して、先ほどのヒレの下になるように巻いた粘土と密着させておく。



尻尾と頭にも堤防を築く。



ここまでできたら粘土作業は終わり。

次に石膏を混ぜます。



石膏と水の割合は1:1

水の中に石膏をちょっとづつ入れて溶かしていこう。

石膏の上から水を入れるとダマになってしまうので。



しばらくかき混ぜてちょっとトロミがついたくらいになったらすぐ流し込む。

クリーム状になるまでかき混ぜてしまったら、時すでに遅し。

今回は写真を撮ろうとしている間にクリームに近くなってしまってまいったよ・・・。



スプーンやヘラで隙間がないようにならしてやる。



この状態で20分から30分くらい待つ。

ちなみに粘土の密着があまかったり、
石膏のトロミがあまいと石膏漏れをおこすのでよろしく。



時間がたって固まったら台を傾けると、
ラップしているので粘土からポロっと外れる。



さらに粘土を部分的に剥がしていってあげれば・・・・



バス型の完成!!



バスを洗う。

流水でガーゼなどでぬぐって、引っ付いている粘土、ヌメリを取りさる。
このとき気をつけることは、鱗に逆らわないように頭から尻尾の方向へぬぐうこと。



終わったら水気をふき取って、
石膏を流して型を取った面とは逆の向きにする。



バスの中心にカッターで切れ込みを入れる。

切れ込みを入れるときに鱗がはがれたりしますが、
まったく気にすることはありません。
どうせ壁側にきて見えなくなる部分だから。



切れ込みを入れたら、カッターを使用して、
皮と肉の間に歯を入れながら皮をはいでいく。
腹側もおなじく。

このとき、あまり無理してギリギリに歯を入れようとすると、
失敗して皮を傷つけてしまうかもしれませんので、無理しないように。

この時点では、皮に肉が残っていてもぜんぜん問題ないので、
余裕を持って行うようにしましょう。



皮と肉を分離できたら、肉をおおざっぱに切り取っていく。

そしたらもったいないので、醤油を付けて食べていく ・・・・ 嘘だよ。



骨に近い部分はスプーンでこそげ取る。

そしたらもったいないので、ネギトロみたいにして食べていく ・・・・ 嘘だよ。



中骨が見えてきたら、尻尾の付け根と頭の付け根付近で切断する。

ハサミで無理なようなら無理しないでペンチを使用する。



さらに、背ビレや尻ビレの骨と中骨がつながる部分にハサミで切れ目を入れる。

こうすることで中骨が外れる。



中骨が取れたら、反対側の肉をスプーンでこそぎとり内臓もとる。



目ん玉を取り外す。

ピンセットでつまみながら、周囲の皮膚を傷つけないように。



次は頭の中。



エラや頭蓋をペンチで オラオラ! バキバキッ!! 
っと砕きながら、適当に取り外す。

舌とかは残っていてもかまわない。



最後にやはりスプーンで取れるだけの肉をこそげ取って除肉終了。



ホルマリン3%液に漬け込む。

水1リットルでホルマリン30cc。

12時間くらい漬け込めば良いらしい。







漬け込んだバスの皮。




ホルマリンのおかげで肉が引き締まっているので、
さらに取り除けそうな肉を除肉しておく。



外側内側ともに水気を十分にふき取り、
型取りしたバス型を準備してラップを敷いておく。



目ん玉の中に粘土をつめておく。



型にバスを置いて紙粘土を突っ込んでいく。

(紙粘土の代わりに石膏とボンドを1:1で混ぜ合わせたものでも良いらしい。)



こんな感じで針金を2箇所埋め込んでおく。



厚紙を用意して、ヒレにあてがってクリップで止める。

ピンと張った状態で乾くようにする。



段ボール箱などの台二つを用意して、
針金を挟み込むようにして邪魔にならないように型からひっくり返す。

せっかく型取りした自然なラインを押しつぶさないように気をつけよう。



下になっていた胸ビレや腹ビレにも厚紙をあてがう。

この状態で紙粘土や皮が乾くまで乾燥させる。

魚の大きさにもよるんだろうけど、3日〜一週間くらい? かな。







乾燥したら厚紙を取ってやる。


活きていた時に撮影した写真を参考に、色付け作業に入ります。



じゃあ塗っていこう!!






ん? あれ??

何か違くない???







こら!

ふざけるな!!!



ファハハヒハハハ!

バスの完成だ!


ブラックバスがファッショナブルな熱帯系の海産物に成り上がった。


あれ?

なんだ? なんなんだ?? このえも言われぬ征服感は!!

なんだかブラックバスという「種」そのものを征服した気になったぞ。



色付けが終わったら絵の具の乾燥に入る。







もう目玉が到着していますね?

目玉を入れます。



粘土を少しくりぬいて突っ込みます。

ヘラで目の周りの皮を整えましょう。

反対側の目はシカトでよい。



目入れが終わったら、裏表まんべんなく
スプレーニスやクリアラッカースプレーでコーティングする。



終わったら風通しのよいところで乾燥する。




・・・・・

うーむ・・・・

反対側を青く塗っておけばキカイダーになってたな。



ついでに作業台にしていた台にもニスをぶっかけておきましょう。





ニスが乾いたら台に穴を開けますが、
そのままだと針金がつっかえて位置決めが難しい。

そこで、このように厚紙に針金を差し込みます。



バスに沿ってボールペンで縁取りする。



また、針金は曲がってますので、
紙に突っ込むときに破けが広がってますので、
持ち上げて針金の位置を確認して印をつけておきましょう。




紙を切り抜いて位置決めしたら、
キリやドリルで穴を開け、針金を通して魚を固定する。

さらに台の上部に、ぶら下げる紐を通す穴を開けて紐を通す。



完成したら、誰かに見られたときに
細部を見られていろいろと突っ込まれないように、
高くて見づらい位置や遠い場所に飾りましょう ?



魚名、サイズ、捕獲地や捕獲者を書いておくとカッコいいかもしれません。


魚名 : 三色バス(新種)
捕獲地 : ソロモン諸島沖
捕獲者 : 俺
捕獲方法 : 人間トローリング

ですね。

ウウウ ウソじゃないもん。 しばらくしたら図鑑に登録されるもん。



以上、ブラックバスの剥製講座でした。


ちなみに今回のは片面剥製で、壁側になる面を気にせずに作製しましたが、
両面を見せるために腹部を切開して行う場合はさらに難しく、
また、迫力を出すために口を開けた状態で完成させようとする場合は、
エラを残して加工する必要も出てくるのでさらに難易度が上がるらしいです。


やりたきゃがんばってちょ。



参考図書 : グリーンブックス 魚の剥製の作り方 本田晋 著



五目の部屋
TOP
inserted by FC2 system